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Aちゃんちは別に複雑なわけではないし
みんなそれぞれちゃんとお互い思いあってんねんけど
その思いの方向が少しずつ微妙にズレてもうてて
そのズレは時間と共にどんどんお互いの距離を離してしもてるねん
少し体の調子を崩されたお母さんを一人にしとかれへんから一緒に住みたいAちゃんと
慣れへん土地に引っ越さすんはかわいそうやって言う弟さんとで
ここ数日答えの出ない問答を繰り返しとって
そんなAちゃんに俺は何も言うてあげられへんとおる
惰性でつきっぱなしのテレビからお笑い芸人さんの楽しげな声だけが聞こえてくる部屋で
どれだけじっとしとったやろ
大きくひとつ息を吐いたAちゃんが突然立ち上がって俺の頭をわしゃわしゃと撫でた
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作者名：UTA
| 作成日時：2021年2月27日 5時
