みかん色の午後 (ページ2)

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バラエティーも

音楽も

ドラマや映画の映像の仕事も

どれも大事にしとる隆平

けど

そん中でも舞台の仕事は

まさに言葉の通り

骨身を削って

自分を追い詰めて

心も体も研ぎ澄ませて臨むほど

隆平にとって

何物にも代え難い

大切な

ライフワークやねん

分かってたよ

きっと

誰よりも隆平が

ちゃんと

分かってたよ

分かってたからこそ

悔しいやんな

「裕ちん･･･舞台無くなってもた･･･」

自宅待機ってなってからは

会えへん寂しさを埋めるように

いっつもやったらお互いの顔見ながら電話すんのに

そんときは

普通の通話画面のまんま

今にも消えそうな震える声がした

その後は無言

「まる？」

「顔見せて？」

できるだけ優しいにそう言うても

返事は無いし

ビデオ通話に切り替わった通知も無い

裕ちんって呼んできたってことはまるの頭ん中仕事モードやし

まるが顔映さへんのにこっちからってのはちょっとちゃうかと思たけど

いつまで続く沈黙に

姿の見えない不安に

我慢できひんよなって

「隆平？」

「お願いやから顔見せて？」

そう言うて俺からビデオのマークをタッチする

しばらくしたら見慣れた隆平の部屋が映った