十年日記 (ページ11)

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彼女の言葉はまるでナレーションのように

感情に震えることもなく澱みなく続く

LINEのメッセージには

取り繕うことも飾ることも無い

大倉忠義がいたらしい

彼女が言うには

たつは僕をとても愛してくれていた

それと同じくらい僕の弱さを心配してくれていた

自分が傍にいないと生きることさえも簡単に手放してしまいそうな気がする

そう書かれていたんだって

バカじゃないの？

いい歳こいた成人男子でしょ？

人間そんなに弱くないじゃない

そう思いながらも

あまりにも

たつが僕を心配しているから

そんな僕をどうすれば

たつの代わりに護れるんだろうって

なんで私がって思いながらも

一晩中考えたんだって

で

やっと思いついたのがこの十年日記

とりあえずこの日記帳に

毎日たつに向けたラブレターでも

その日食べた物でもいいから

十年間書き終えるまでは生きて

って伝えに来たのに

たつの考えが間違えてないと玄関を開けた瞬間に感じてしまって

ズカズカ上がり込んでしまったと

そう彼女は言った