検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,067 hit

彼の朝 1 ページ6

その日は朝からメンバー全員での収録。

誰もこれからの事になんてなんも触れへん。
いつもの楽屋。いつものスタジオ。いつものワチャワチャ。
それぞれがちょっとずつ無理して作り上げとった俺らのいつも。

休憩ん時にコーヒー啜りながらWebの日記を書き上げる。
何年も続けとる一方通行な俺からのメッセージ。
これ読んで一人でもくすり、って笑ろてくれたらええのになぁ。そんな事考えながらチェックしてもらう為にスタッフに送信する。
いつも感じる画面の向こうから届く優しい想いたち。その想いを裏切ってるようで少し息が苦しくなる。

ここ何年かはお陰様で忙しくさせてもうてるから前みたいにファンレターをゆっくり読む間もあらへん。やけどせめてものお詫びを込めた思いで届けてくれたファンレターの宛先と差出人だけはきちんと目を通す。
そして俺の名前を書く時にそれぞれが込めてくれた想いを感じて活力にする。
今日もマネが持ってきてくれたファンレターが入った袋をテーブルに置いていつものようにまずは一通取り出した。


「メイク直します。」「順番にお願いします。」スタッフさんの声で我にかえる。
手にしとった封筒をテーブルに置いて立ち上がりかけた時に俺の横から「なんかあったんか?」って声がした。
俺は座ったまんま「なんで?」って見上げて返事をする。
「いや。なんもあらへんのやったらええねん。」とその声の主は俺の横をすり抜けて行った。
慌てて後を追うように立ち上がった俺の目の前のテーブルには封筒がたった一通だけ置かれていた。

お詫び→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
159人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:UTA | 作成日時:2019年12月23日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。