彼の朝 1 ページ6
その日は朝からメンバー全員での収録。
誰もこれからの事になんてなんも触れへん。
いつもの楽屋。いつものスタジオ。いつものワチャワチャ。
それぞれがちょっとずつ無理して作り上げとった俺らのいつも。
休憩ん時にコーヒー啜りながらWebの日記を書き上げる。
何年も続けとる一方通行な俺からのメッセージ。
これ読んで一人でもくすり、って笑ろてくれたらええのになぁ。そんな事考えながらチェックしてもらう為にスタッフに送信する。
いつも感じる画面の向こうから届く優しい想いたち。その想いを裏切ってるようで少し息が苦しくなる。
ここ何年かはお陰様で忙しくさせてもうてるから前みたいにファンレターをゆっくり読む間もあらへん。やけどせめてものお詫びを込めた思いで届けてくれたファンレターの宛先と差出人だけはきちんと目を通す。
そして俺の名前を書く時にそれぞれが込めてくれた想いを感じて活力にする。
今日もマネが持ってきてくれたファンレターが入った袋をテーブルに置いていつものようにまずは一通取り出した。
「メイク直します。」「順番にお願いします。」スタッフさんの声で我にかえる。
手にしとった封筒をテーブルに置いて立ち上がりかけた時に俺の横から「なんかあったんか?」って声がした。
俺は座ったまんま「なんで?」って見上げて返事をする。
「いや。なんもあらへんのやったらええねん。」とその声の主は俺の横をすり抜けて行った。
慌てて後を追うように立ち上がった俺の目の前のテーブルには封筒がたった一通だけ置かれていた。
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作者名:UTA | 作成日時:2019年12月23日 14時