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薄手の羽織ものから少し厚手の物に変わる11月
年に一度だけはこのホテルに部屋をとって一晩を過ごす
いつもは最上階まで一気に上がるけど今日はチェックインしてからエレベーターに乗る
毎年同じ部屋
今日で何回目？
数えるまでもなく分かっているけど数えたくもない
コートを脱いでダブルベッドの上に投げ捨てるように置いてカードキーと小さな財布だけを持って部屋を出る
仕事の時はいつもパンツスーツだからふわりと拡がるスカートから出た足に風がまとわりつく擽ったさに少しだけ
ほんの少しだけ心が華やいで
そんな自分がまだ女であることを気づかされて嫌になる
最上階のバーに入って今日もいつもと同じカクテルを両手で受け取ると視線を動かしいつもと同じテーブルが空いている事を確認してゆっくりとそちらに向かう
いつものテーブルに近づく私の横をふわりと柔らかな香りが追い越して行った
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作者名：UTA
| 作成日時：2019年11月26日 14時
