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診察室の中に入るとおとん位の年齢の優しそうな人が座っとって

智衣ちゃん見て「なんな知り合いか?」って声かけた後

看護師さんに勧められて椅子に座った俺らに向き合って

腿の上で手を握りしめて俯いとるAちゃんの膝を指先でトントンと優しく叩いてこられる

Aちゃんがゆっくりと視線を上げたら

首から下げた名札を自分の顔の横に持ってって

大きな口をあけてゆっくりと自己紹介をしてくださった


Aちゃんは弱々しいにやけど頷いてぺこりと頭を下げた

その様子を見てから

俺の書いた問診票を見て



「聞こえてないって気がついたんは今日の朝 ?

昨日までは全然そんなそぶりもなく?」



Aちゃんの顔見とってやけど俺に聞いてるんは決まっとるんやからと

俺が答える



「きちんと検査せぇへんと診断はくだせへんけど

突発性難聴かもしれんなぁ」


「普通なるんは片耳が多いからもう片方は聞こえるんやけど

彼女は元々片耳が聞こえてへんから音が聞こえへんよぉになってんな」

「とりあえず検査のオーダー入れるから表の待ち合いで待っといてくれるか」


そぉ言うて横でパソコンかしやかしゃ打っとる事務員さんにいくつかの指示を出し始めた


「ありがとうございました」そぉ頭下げてからAちゃんを立たせて診察室を出る

廊下に並べられた椅子は既にいっぱいで

智衣ちゃんと俺とでAちゃんを護るように間に挟んで立つ

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作者名:UTA | 作成日時:2019年11月2日 17時

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