誕生日プレゼント2 (青) (ページ5)

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その整った顔を見つめながら施術を始めて頭皮のオイルマッサージをしながら
器用な人なんだと思った
そしてきちんとした人なんだとも思った
時間が時間だから薄らとヒゲはのびてきていたけれど
眉毛はとても綺麗に整えられていたし
お腹の上で組まれていた手の爪は短く切られていた

マッサージが終わりシャンプーを始める
｢お湯の温度は大丈夫でしょうか？｣｢痒いとこはございませんか？｣
とどこの店でも共通なお声掛けだけしてシャンプーを続けた
その問いかけの度に安田様は｢大丈夫です｣｢ありがとうございます｣と丁寧に返してくれて
その少しイントネーションに癖のある優しい話し方になぜか心がふんわりあたたかくなったことも覚えている

そのあと続く施術の時も特に話をされる事も無くて静かに目を閉じたままだった
あまり話すのが得意ではない方なのかなと思い私も黙ったまま施術を続ける

リズムを取るかのように動いていた安田様の指先がだんだんとテンポが狂ってきて
呼吸に合わせるかのようにゆっくりになったあと止まって
その代わりに規則正しいピイピイと鼻を鳴らすような独特の寝息をたてはじめた