耳元で歌わせて (赤) 10

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実家着いてエレベーターん中であの日みたいに

緊張しとるAちゃんにキスしたら

どつかれるどころか俺のダウンの裾握ってきた



｢大丈夫や｣

｢おとんも無口やけど難しい人やあらへんから｣



そう言うてAちゃんの手を握って言うたら

Aちゃんも小さく頷いてくれた


玄関ドアの前に立って廊下に誰もおらへんの確認したら

もぉ一回短いキスをしてインターホン押す

俺の右横でAちゃんが大きく一つ息吐いたら

出来るお姉さんの出来上がり


スピーカーから返事が聞こえんうちに

誰とも確認せんと直ぐにドアが開いて



｢おかえりぃ｣



っていつも以上のハイテンションのおかんと姪っ子のこよみが一緒に出てきた



｢ただいまぁ｣言うた俺に続いてAちゃんが



｢あけましておめでとうございます｣

｢今年もよろしくお願いします｣



って綺麗なお辞儀で挨拶したらおかんも



｢おめでとう｣

｢こちらこそよろしくお願いします｣

｢お父さんも待ってるし上がって上がって｣



って優しい笑顔で言うてくれた


靴脱いで玄関上がった俺の靴を直してからAちゃんも



｢お邪魔します｣



って言うて玄関上がりかけたら



｢Aちゃん？｣

｢ちゃうやろ？｣



って難しい顔したおかんが言うてAちゃんが上がられへんように立ちはだかった

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