偶然出会ってデビューしたんだけど8

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けど、なんで、



葛「我慢すんな」

『ぅん、ｸﾞｽ、ごめん』

葛「謝んなって」



流れる涙を、サーシャが拭ってくれる。


毛布も、服も、叶の匂いがする。

それが余計に、本人が居ない寂しさを増幅させたんだ…

服、貰わなきゃよかった。



『かなぇ…サーシャ…ｸﾞｽ』

葛「配信終わったら起こしてやるから、寝とけ」

『ぅん…』



サーシャの胸に顔を埋める。



『めんどくさい、よね』

葛「んな事ねぇよ」

『寒い』

葛「ん」



サーシャの匂い、叶の匂い

私はサーシャの心音を聴きながら、目を閉じた。




ーーーーーー
ーーー
ー


葛「…ぅ、おい、龍。起きろ」

『ん、さぁしゃ』

葛「叶の配信終わったぞ」

『…なえ』

叶「龍ちゃんお持たせ。ごめんねぇ」

『……』

叶「おいで」



叶に毛布ごと抱き上げられる。



叶「寒くない？」

『寒い』

葛「ココアまた飲むか？」

『ん』

叶「作ってくるね」



私をベットに下ろし、離れていく叶の服を、咄嗟に掴む。



叶「わぁ、どしたの」

『ぁ、いや…』

葛「龍？」

『行っちゃ、いや』

叶「ココア作れんよ？」

『いい、一緒にいて』

叶「わかった」



サーシャにもたれて座る私の正面に叶が腰を下ろした。



叶「寂しがり屋さんな僕達のお姫様は、何をして欲しいですか？」

『手握って』

叶「かしこまりました、姫」

葛「姫、俺も手でいいんですか？」

『お腹撫でて』

葛「かしこまりました」



2人の優しさに、甘える。

毎日は恥ずかしくて出来ないけど、こういう時くらいいいよね。



『サーシャ』

葛「なに？」

『叶』

叶「どしたの？」

『好き』

葛「知ってる」

叶「僕も好きだよ」



わがままになっちゃうなぁ。



『ねぇ』

叶「なぁに」

葛「ん？」

『あのさ』



2人の優しさに、つい甘えちゃう



『ちゅう、して』

叶「え、」

葛「は、」



言うつもりなんてなかった。

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