最年少幹部部下となりました ３冊目

苦労の記録１２２ ページ22

「A〜、うちら飲み物買ってくんね」

「ちょっとの間任せた！」

『うん、いいよ〜。愛里も恵も行ってらっしゃい』


＊


そう云い去った彼奴等はフロリダのコンビニにまで行ってきたのか、小一時間帰ってきていない。屹度何処かでお喋りに花を咲かせているのだろう

『(私は雑用係ですかそうですか)』


文化祭で使う看板の釘打ちを無心に続けている内に、段々と私から彼奴等に対する苛立ちのオーラが滲み出てきていたらしい。先程それを見兼ねた優しい実行委員が休憩を出してくれた。有難い


とはいえ、私は転校してまだ2ヶ月ちょっとである。愛里と恵が所謂同じ「グループ」であり、そこでしか深い交流をしていなかった為、矢張り今休憩を貰った所で誰かと喋れる訳でもな
い。

『別に遊ぶ事も無いしな…』

そうとなれば本業の仕事だ。つまりマフィアの方である


『(なんか良い感じの情報無いかな〜…)』



もう潜入捜査が始まって約2ヶ月が経つ。芥川は漸く慣れてきたが、宿題はやらず、無意味だと吐き捨て体育は見学に徹し、挙句先生に向かって殺害宣言まで仕掛けたと聞いた。志賀がなんとか口を押さえ込んだとも聞いた。


「その布此処に引いといてー！」

「誰かペンキ白持ってるー？」

「実行委員長なら、職員室に居たよー」




『……』



適当に歩いているが、何処も彼処も皆、明後日の鈴華祭に向けて準備をしている。本当にあっと言う間に準備は進んでいき、とうとう鈴華祭2日前となってしまった




ああそうそう、どうやら志賀はミスターコンに応募したらしい。候補者の写真一覧表に顔が載っていた

潜入捜査官がこんなに目立っていいものなのかと思ったが、矢張り太宰幹部に怒られたと志賀が言っていた。推薦されて、反対はしたが、勝手に応募用紙に名前を書かれたみたいだ


『顔は良いもんな〜』


てくてく、と一体何処まで歩くのか。適当に歩いていたら全然人気が無い所まで来てしまった

やっちまったな、なんかもう皆文化祭モードで全然情報も集められなさそうだし…



『…帰るか』


全く何の為に来たのかと自分でも馬鹿らしく思う中、踵を返した






「…ーーーー、の時にーー。」


『(ん…？)』


はた、と進みかけた足を止めた。声がする。
恐らく、女の子の声。なんだろう、こんな人気のない所で。内緒話…？

女子の内緒話かー…。昔は面倒だったけど


『(何かあるかも)』


まあ脅しのネタにも使えるし、と踵を返した足をまた戻して、聞き耳を立てた

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