苦労の記録102 ページ2
手を離された瞬間、私は思い切り彼の体を腕でなぎ倒した。習っていた合気道の要領だ。
馬乗りしていた彼が床に打ち付けられる。
「…くッそ…!」
すぐさま彼は異能を使い、姿を晦ます。
だがもうこれには慣れたし、対策も考えた。
異能で刀を出し直し、更に私は転がっている薬瓶を拾い上げる。
「そこかアア!」
微かに音がした方へ、刀を振る。
攻撃が避けられるのはもう分かっている、その為のこの液体だ
「わぶッ!」
左手の瓶の中身を、彼が居るであろう方向に、思い切りブチ撒けた
「…は?!んだこの液体…?!」
しめた。
液体のお陰で彼の姿が浮かび上がる。私は刀ではなく、思い切りそいつを蹴ってやった
「が、はっ…!」
彼は身を屈折状態にしながら、壁に激突
そこまで私の蹴り強かったか、と非力な頃の私を懐かしくすら思えた。
「てめ、何掛けた…?!」
こうなっては異能も意味をなさない。姿を現した彼が、液体塗れで問うてきた。
「匂いで分かるでしょ」
そう、掛けた瞬間から凄く匂うこの香り。
保健室、病院、あらゆる場で使用され嗅ぎなれたこの匂い。
「…エタノール…?」
私は吸い込まないように腕で口を塞いだ。
「大正解。……で?」
まだ?と首を傾げながら今度は私が問う。
彼は疑問符を頭には浮かべる。なんのことかわからない、という顔である。
だが、そろそろ、
────そろそろ『効いてくる』頃だ
「…?!」
ヨロヨロと立ち上がっていた彼が、再び壁に寄りかかる。顔色は悪く、瞼が閉じかけていた。
今にも倒れそうな面持ちだ。
急な異変に、彼がギロリと私を睨む。
「何したお前…!!」
いい気味だ、と思いながら刀を下ろした
構えても、此奴はもう反撃できる身体ではないからだ
「ここで問題だ、サイコパス野郎」
「闘いながら偶然を装い、次亜塩素酸カルシウム、詰まり高度サラシ粉とエタノールをぶち撒けて2つを混ぜれば……」
「化学反応によって何が発生する?」
彼は今にも気絶しそうな様子で少し考え、ぜえはあと答えた。
「CHCI³…クロロホルム…か」
「はい正解、おめでとう」
そう、私はあの時適当に薬瓶を落とした訳じゃない。態と特定の薬瓶を狙って落としたのだ
「あ、もう気絶しそう?」
正に形勢逆転のこの状況、もう此奴に負け以外は無い
私はツカツカと歩み寄り、無言のまま彼の胸倉をぐっ、と掴む
「志賀は何処なの 」
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メガネ第2号(プロフ) - かえる。さん» 返信激遅でごめんなさい、更新しました!コメント励みになります、遅筆ですがぜひ最後までお付き合い下さい。 (2022年8月28日 6時) (レス) id: 652442107f (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - やったー!更新してる!(≧▽≦) (2022年5月24日 21時) (レス) @page46 id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 望務さん» ひい!!嬉しいです。文章少し長くなったりしてうざったいかもしれませんが頑張って書きます!ありがとうございます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 紺さん» 前々から読んでいてくれていたんですね!出戻り嬉しいです、本当にありがとうございます!コメント励みになります、頑張りますね! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 小夜子さん» 返信遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます、他の作品も読んでくれているようで凄く嬉しいです!文スト4期公開楽しみに頑張ります! (2022年5月24日 20時) (レス) @page46 id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2018年7月3日 4時