苦労の記録35 ページ35
ポートマフィアには、幹部派閥というものがある。
その名の通り5人の幹部それぞれの部下のことで、派閥によって仕事の内容が微妙に違ってくる。例えば尾崎紅葉幹部の部下は拷問班が多い。
そしてなにより、歴代最年少幹部太宰さんの派閥は、なにかと恨みを買う。つまり。
「話も聞けないような少女のなにがいいのか。」
違う派閥からの敵が多いのだ。こうして馬鹿にされることもあると、中也さんから忠告された。こういうことかと私は大人しく聞き流すことにした。
「全くその通りですな、しかも直轄部下の2人はどちらも貧民街からの出だとか。」
「たまげた、まさにお似合いの部下だ。」
さっきの痩躯な黒服──確か上野優太──に続いて違う黒服達もここぞとばかりに次々と嫌味を飛ばし合い、殺伐とした空気が広がる。
「太宰幹部の代役の専属部下がこのような年端もいかぬ間抜けな少女とは、歴代最年少幹部様も落ちましたなぁ!」
この言葉に、奥の方でプツンと切れた音がした。
「………。」
足を高く上げ、机を勢いよく蹴り、ガン!と大きな音を鳴らした。乱暴な動作と音で場の喧騒は静まり皆の視線がこちらに向く。私はゆらりと立ち上がった。
「貴方は、確か前線の第一隊長上野でしたっけ。」
「……いかにも。」
「襲撃作戦案拝見させていただきました。」
厚い資料たちを手繰り、此奴が出してきた書類を見つける。
「本拠地1階にまず閃光弾を撒き散らし囮の襲撃班をぶち込む、その間にC班が予め用意した、先日捕まえた捕虜の一人の指紋と虹彩を使ってセキュリティが掛かった人気のない裏口を突破。裏口の見張りは倒して抜かりなく。」
プランの概要を読み上げ、にっこりと微笑んで上野を見ると、上野も負けじと笑顔で返す。
「それがなんです?」
「死にたいみたいですね。」
「……は?」
相手の笑みが崩れるのを気にせず私はダメ出しを続けた。
「組織にいる一人のある異能は透視らしいです。こんな美味しい異能、敵が使わないわけがないじゃないですか!屹度1階の外回りは全てこの異能で見張られている。裏口から入っても武装された集団に襲われておしまいですね。」
「ちゃんと資料全て読んでから考えたんでしょうか?いやそもそも読んでなくても囮を使って裏口から入るだなんて三流アイディア誰でも思いつく……1番警戒されてる場所が此処の裏口でしょうね!」
「死ぬなら一人でどうぞ!自l殺志望はうちのところの上司で足りてます。」
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時