苦労の記録27 ページ27
メキャ、と地面が割れて私の身体が沈んでいく。
息もできない程重苦しい。
いや、重苦しいなんて文章で片付けられない。あまりの苦痛に私は盛大に顔を歪めた。朝食べたものがもう少しで逆流してきそうで、必死に押しとどめた。
「(死ぬ……!!)」
苦しさに悶絶して乱心していると、その事の元凶である中也さんは、もう私の目の前に来ていた。黒い革靴が朧気に見える。
このまま処刑の流れかもしれない。罪名は「上司を冒涜した罪」?情けなさすぎて成仏出来ないかもしれないな、なんて辞世の句まで考え始めたところで、中也さんがため息をついた。
「それが手前の本性ってわけか。」
「……。」
私はグッと押し黙る。文句も言わないで従う人間なんて怪しいだけだ、私が演じていたいい子ちゃんなんておとぎ話の存在なんて決まっている。二次元にしかそんなのは存在しな……ここ二次元か。
「なァ、聞いてんのか?」
「……聞いてますけど。」
今までの鬱憤ここで全部さらけ出しちまえ、と冷たく言い放つ。沈黙が重い。もう殺すなら一思いに殺して欲しい。私はふと「そうか、死んでもいいか。」と思った。
「(どうせ死んでも、この世界には用もない。)」
少しの静寂。その静けさを疑問に思い、重い頭をなんとか起こして中也さんを見ると、なんだか哀れむように私を見てた。
「……なんですか、その同情の目。」
コイツ死ぬんだな、と情けをかけられているのだろうか……。死ぬとしたら貴方が出した異能力が原因なんだけど、頭大丈夫かなと、なんだかおかしな様子の彼を本気で心配した。
「お前、先刻の発言について何か言う事は?」
「はあ。貴方が気になされている事実をつい口に出してしまい大変申し訳御座いませんでした。」
(訳:チビという事実を言って何が悪い
嫌味たっぷりに謝罪をすると、身体が更に重くなる。
「っう゛あ!」
くそ、声だけは出すまいと決めてたのに。あまりの重苦しさに呻き声が出た。
早々に殺してこない中也さんは今度は私の髪をグシャッと掴み目線を合わせさせる。
「…………、」
痛くて苦しい私の赤目と、中也さんの蒼色の目が合う。吸い込まれそうに綺麗な蒼だ、と場違いにも見蕩れてしまった。
「其れが本当の性格なんだな?」
「……そう、だけど、なんですかッ……?」
重いし痛いしで喋り難い。殺すなら早くしろ、とさえ思っていると中也さんが予想外の発言をした。
「じゃあ手前、それでいろ。」
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時