第八舞『刹那の牽制』 ページ8
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報道番組の押し掛けが治まった頃。
アイザックは、せめてもの詫びとして、行き付けの喫茶処で洋菓子をご馳走する事になった。
「だーかーら、悪かったって云ってんじゃん。眼鏡さん」
アイザックは、自分の持って居たフォークを揺らしながら云う。
「俺は眼鏡では無いと何度云わせれば判るのだ小僧!」
国木田は思い切りアイザックの頬を
この喫茶処は賑やかで、国木田の怒号はそう目立ったものでは無かった。
「いひゃい」
アイザックは、必死に痛みを目で訴える。
「彼から見れば、君は眼鏡なのだよ国木田君」
すると国木田は、太宰の首を締めに掛かる。
太宰は至って愉しそうにしており、国木田は太宰を揺さぶる。
アイザックは、抓られて赤くなった頬を優しく撫でた。
「もご!もふふもふ!ふもごもご」
敦が洋菓子の美味しさに感動し、輝いた目でアイザックを見た。
「うわ、呑み込んでから云ってくんない…?」
「所でさ、アイザ君」
いつの間にか太宰が国木田の首絞めから解放され、アイザックに話し掛ける。
「何」
話し掛ける太宰の方へ顔をやると、髪がさらりとそれに合わせて動く。
「此処って結構、高級な喫茶処だよね?行き付けなら、如何やってお金払って居たんだい?真逆!食い逃げ」
「逃げてねぇし」
と、フォークで苺を刺して云う。
「さぁ…何でだろうな。その辺のチンピラが金を巻き上げるみたいに、俺が同じ事をチンピラにやり返してたから…かもな」
アイザックは苺をぱくりと食べ、満足そうにした。
見た所、服も上等、髪も整っている。
確かに、住む所が無いだけで、金銭的には困っていなさそうだ。
「って、それ私の苺なのだけど!」
「は?残すのが悪いだろ」
楽しみに取って置いたのにぃ、と拗ねる太宰。
「貴様らは子供か!探偵社の印象となるやも知れん、シャキッとせんか!」
注意をする国木田に、当の三人は…
「お堅いなぁ、これだから国木田君は」
「堅物」
「もご、ごもごも!」
三人の反応に、国木田が小刻みに震える。
「貴様ら…!」
国木田が怒鳴る寸前に、喫茶処の電気がフッと消えた。
賑やかだった店も、一瞬で鎮まり返る。
刹那、硝子が割れる音と共に聞こえた銃声。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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