第三十一舞『犇めせ暴虐』 ページ31
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____暗い。
暗闇の部屋に響く、大きな打撃音。
両腕を背中で縛られ、足も自由に動かせずに、壁に背を
間違い無くアイザックだ。
アイザックの顔や身体は、殴られ蹴られ傷だらけだった。
「…もう満足かよ、低脳」
アイザックは、自分を痛め付けて居た図体の大きい男を上目で睨んだ。
「お前さんよォ、自分の立場が判ってねぇ様だな」
男はアイザックの胸倉を掴む。
するとアイザックは、口から ぷっ、と血を吐き出し、男の目に血を掛けた。
「ぐぁ…!」
男の目玉は、アイザックの異能で真紅の氷へと化して行く。
「はッ…ざまぁ見ろ、莫ァー迦」
男の痛がる様子に、アイザックは嘲笑った。
男は激怒し、アイザックの首を思い切り締めた。
「辞めなさい。殺せとは云って居ませんよ」
今度は低くて渋い声がした。
年齢は四十歳そこらだろうか。
格好も洒落た男。顔立ちも端正だ。
この男は、アイザックが殴り蹴りされているのを、何かの作業をしながら見ていたのだ。
「おい、三流。俺を殺してみろよ」
アイザックは構わず図体の大きい男を挑発する。
「挑発に乗っては行けませんよ。その青年は、挑発で近寄った相手に反撃の隙を狙いますから」
「へーぇ、オッサン俺の事良く知ってんじゃん」
この状況に置いても、喚きも命乞いも悲鳴を上げたりもしない。
寧ろアイザックは余裕そうだ。
「俺さぁ、腹減ってんの。蟹缶食べたい。云う事聞くから縄解いてよ。駄目?」
「嘘吐きも変わって居ませんね。勿論駄目です」
アイザックは舌打ちをし、男の顔をじいっと見る。
そして、何か思い付いた顔をした。
「あんた、賭博場の支配人だろ!負けるからって爆破させた奴!」
と、アイザックが苛立ちを見せた。
すると、男が立ち上がった。金色の髪で、アイザックと同じ赤い瞳をしていた。
その男は、鮮血の入った注射器を持って居た。
アイザックは、その時初めて焦った顔をした。
「…それ、何?あんた…俺を如何すんだよ」
強気の瞳で、アイザックは男を睨み付けた。
「何、一寸した躾です」
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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