第十二譚 ページ12
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＿＿＿＿約一年前。
氷室が記憶を失う前の話だ。
暖かい夜だった。
焼死体が数体。路地裏に転がっている。路地裏にある焦げた木箱の上に、荼毘は腰掛けて居る。
荼毘がまだ敵連合に加入していない頃。一人の少年と出会っていた。
ふと。荼毘は自分の掌に視線を落とす。正常な肌と爛れた肌の縫い目から血が滲む。自分の体から焦げた匂いがし、自らを嘲笑う。
『あんた焦げ臭いね』
こんな場所で、澄んだ声が聞こえた。中性的な声だ。気付けば辺りの気温は下がっており、雪までも降っている。
明らかな異常気象と共に現れた声の主を、荼毘はニヒルな顔で見上げた。
『冷やしてやろうか』
そこに居たのは、圧倒的な冷気を放つ白い少年…氷室だった。灰色のスーツを着ているが、顔つきや体格からしてまだ子供。そのスーツだってダボダボだ。
ただの子供…そう思ったが、数体の焼死体を見ても…目の前の少年は笑って、座っている荼毘を見下ろしている。
『意地を張るなよ、なぁ？＿＿＿＿。』
氷室は少し腰を屈ませ、荼毘の耳元で囁く。それは荼毘の本当の名前だった。それを聞いた瞬間、荼毘の手のひらから蒼炎が溢れる。
荼毘は、自分の目的のために、氷室を殺さなければならないと考えた。
『悪いな。何も恨んじゃいないが』
『まぁ待てよオニーサン。公言するつもりは無いんだよ。ただあんたに抑止力をかけたかっただけだって』
『信じられないなら殺してもいい。けど利用出来るか見極められない男じゃねーだろ、あんたはさ』
と。氷室は両手を荼毘の顔に近付け、ぴたりと痛々しい頬に触れた。その手は雪のように冷たい。放つ冷気も、荼毘の焼けた身体にはちょうど良かった。
『可哀想になぁ。痛いだろ。熱いだろ。これからは俺を利用して、長生きしようぜ？…な？』
殺されるかもしれない相手に、氷室は目の笑わぬ笑みで笑いかける。
こんなイカレた野郎だ。さぞかしヤバい事をしてるに違いない。荼毘はそう思う。それなのに、氷室の容姿は白く綺麗だ。傷も汚れもひとつもない。
『気色悪ぃなァ。おまえ』
だが荼毘は氷室を綺麗だと思わなかった。ただそれが逆に気色悪かったのだ。燃やして黒く焦がしてやりたいとも思ったが…荼毘は蒼炎を消した。
『どうも。よく言われるよ』
どうやら利用価値はありそうだ。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» そうです〜！！氷室編で出すかどうか今は迷っております〜ややこしくならないよう心がけます💪 (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 瑠李さん» ｱ!!ありがとうございます！！(*´╰╯`)楽しみに待ってくれているのだなと思えるだけでとても力になりますありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - へ！？逆巻さんて、あの、時間巻き戻しの逆巻さんですね(^^♪。活躍場面は、あるのでしょうか(^^)？ (2021年11月26日 22時) (レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - めっちゃ好きです˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚読んでます。更新いつも楽しみに待っています。頑張ってください。応援してます。 (2021年11月26日 18時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます〜！！男主に触れて下さり嬉しいです！コメントとても力になります…！頑張ります！！！ (2021年11月26日 1時) (レス) @page47 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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