Necromance８６ ページ36
_
ゆっくりとした足取りで武装探偵社に向かう。走ってでも向かいたいが、生憎身体が云う事を聞いてくれない。やっとの思いで着いた時には、既に国木田が太宰を運んでおり、太宰は与謝野の治療を受けた後だった。
太宰の場合、傷は簡単には治らない。だからこそ標的を太宰にしたのだ。アイザックに激情を溢れさせる為に。
そう云う藤崎も死に際で、善く此処まで自力で来れたものだ。直ぐ様与謝野が異能で彼を完治し、藤崎の容態はあっと云う間に回復した。
武装探偵社の医務室には、太宰が居る。顔を合わせ辛いが、顔色を伺わないと気が済まない。医務室の扉の前まで足を運び、ふぅと息を吐いて部屋の中に入る。
「やっほ〜！太宰君！元気？刺されたんだって？誰に？いやあ心配したよ！」
部屋の中には、寝台の上で ノート型端末に釘付けになる太宰が居た。驚いた顔で藤崎の方を見る太宰。すると薄笑いを浮かべた。
「うふふ、そっちも元気そうだねぇ。丁度翔と同じ位の身長をした男に刺されたよ、はぁ痛い痛い」
「はっはっは！まぁ無事で何よりだ！で、何見てるの？あぁ、
救世主の救出劇？」
「その通りさ」と、太宰は端末の映像を指差す。映像には、真紅の氷がアイザック本人と…その父親であるシンガーを氷漬けにした映像。その氷を、工事現場等で使うドリルで穴を開け、アイザックを救出しようとしている…報道だった。
「……如何にも可笑しいのだよ。私が彼の真紅の氷に触れても…何も起こらなかった。私はあらゆる異能を触れただけで無効化する。けれど今回だけは、無効化出来なかった。何か原因がある」
「原因なぁ、さて何だろう」
にこにこと笑う藤崎が怪しい。いや、この男は何時だって怪しいが。考えられる事は幾つもある。けれどどれが正解かは…未だ明確では無い。
この世に真実はあって無い様なものだ。
「どれか一つだけ。君の質問に嘘偽り無く答えよう、太宰君」
そう云い、太宰を真っ直ぐに見詰める藤崎の片目。どれか一つだけ。その言葉に二言は無い。太宰は悩んだ。何を聞くべきか。大方惨状については理解している。ならば藤崎の目的？否…。
「アイザ君が如何なるか。君の意見を聞きたい」
「助かる確率はさほど無い。と云っても、俺に掛かってる。
太宰君。君がアイザック君を信じている限り、彼は助かる。だから貫いて善い。元より信じてるんでしょ、なら心配は要らない。お兄さんに任せなよ」
_
何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 555人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (
レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…！笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました！こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…！！！本当にありがとうございました！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - ｱｯ……ﾔﾊﾞｲ エッ俺の心臓無事？大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです｡ 最初見たとき大号泣してしまいました｡ 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......！是非に！！！！私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......！！！ (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
