傷だらけの君を、描かせて呉れ。【文豪ストレイドッグス】

Necromance８ ページ8

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＿＿＿＿そして、現在。






太宰が云う『厭な予感』とは、藤崎に会う事だ。幽霊が関係するなら、国木田が藤崎を呼ぶだろうと、その場を離れ入水したのだ。



そんな太宰を捜索する敦。先程、向こうの方から太宰の叫び声が聞こえ、小走りでその方向へ駆けて居た。



海が見渡せる海沿い。行き交う人々が、ちらちらと怪しげに何かを見ていた。人々の視線の先には太宰。



「居た…！あの、太宰さーん！」




手を振り、太宰の名を叫びながら寄ると、太宰の他にもう一人…桜髪の男が太宰と共に居た。






「歳上ファーストだよ、君が落ち給え」


「普通は歳下が先陣切るもんだ。君が落ちろ」



落ちろ落ちろと、互いに肩を組んだ状態で海へ押し合って居る。仕舞いには二人共 前のめりになり、二人同時に落ちてしまいそうな勢いである。



それにしても…桜髪の男の方は、力が太宰と互角と云う事だ。中々に貧弱。



周りの人の視線、やばい。他人の振りをしよう。そう思った敦は、一瞬踵を返すが……落ちそうになる二人を見て…。




「ええい！如何にでもなれ！」



武装探偵社、社員。中島敦。例え変な人達であろうと助ける。
プロ意識高めの心優しい少年。



太宰と藤崎が海に落ちる寸前で、がしりと二人を掴む。太宰と藤崎からすれば、今の敦は天使そのもの。敦の背後で後光が照らされた。



藤崎と心中寸前になった太宰は、心底安堵した様な表情を見せた。




「た、助かったあ！有難う敦君…！！」



太宰が「助かった」何て口にするとは。余程藤崎との心中が嫌だったみたいだ。



「って、太宰さん！早く戻ってきて下さい！じゃなきゃ僕が戻れないですよ！」



滅入った白髪の少年の様子を見ていると、あぁ、新しい職場でもしっかりとサボって居るんだなあ。と藤崎は思った。




「ほら、仕事だ太宰君。彼困ってるよ」



ぽん、と太宰の背を押す。藤崎の意味あり気な優しい声に驚き、太宰は藤崎に振り返る。藤崎は何時もの通りへらへらとして居た。



「あの…貴方は？」



敦が藤崎を覗き込む様にして質問し、藤崎は目を細めて笑う。何か答えようとした瞬間、敦の懐にある端末から…着信音。



「あ、国木田さんだ」



と、敦が電話に出る。『国木田』と聞いてそろりとその場を立ち去ろうとする藤崎を、太宰が強く掴んだ。敦は国木田に、桜髪の男性と太宰が共に居たと話す。




端末から怒号。





『そいつは藤崎だ！逃がすな！太宰共々引き摺って帰れ！』



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【要注意人物】

藤崎翔：年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。

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