Necromance29 ページ29
_
「…翔、それ以上はいけない」
死霊を他人にも見える程に駆使する藤崎。太宰は藤崎の肩に触れ、異能を無効化させる。フッ、と霧の様に死霊達が姿を消す。
太宰が触れても死霊は藤崎に縛られたままである。死霊術自体は、藤崎の力であるからだ。藤崎の異能である、人知を超えた『霊視能力』が、死霊術の力を増幅させているのだ。
そして更に、彼は太宰同様非常に頭脳明晰。それと掛け合わせた藤崎の死霊術は、まさに悪魔の為す技だ。
人知を超えた異能には、代償が存在する事が多くある。それに関連する死霊術も、代償を受ける対象だ。
____彼の代償を知って居るだろうか。
誰にも云った事が無かった為に、きっと誰も知らない。
それは寿命だ。
だから好き勝手生きてやろう。そう思った。
「…聞いて善いかなあ。如何して止めたの」
壁に寄り掛かり、ズルズルと伝って座り込んだ。目の前の人間が血を吐いて、目からも血を流して居たら普通は止める。
「オサムくん、だったね。あれだけ綺麗なら丁重に扱われて居るよ。そしてまだ売られて居ない。時間はたっぷりある。焦るのは君らしく無いじゃあないか」
太宰は屈んで、藤崎を落ち着かせる様に云う。真面目な雰囲気に、耐え切れず藤崎が笑った。
「…そうやって俺を
この状況で思い出すのは、昔の事だ。今だけはまるで、昔と立場が逆転した様だった。
____
__
竜頭抗争以前。七年前。
少しばかり愉快そうに蹲る太宰の姿があった。その背後には、立って太宰を見詰める桜髪の男、藤崎の姿。太宰の背は震えて居た。
コツンと靴を鳴らし、藤崎が太宰に一歩近付いて云う。
「吐けないの」
蹲ったまま、太宰は闇に満ちた瞳で藤崎を睨み付けた。「邪魔しないで」。そんな太宰の言葉が感じ取れた。
藤崎は太宰の隣で屈み、太宰の背を摩った。
「全く、それは俺が作った悪趣味な薬だよ。痺れとか動悸とかその他諸々、まるで死に際を経験出来る薬だ。吐かなければ死ぬ。でも吐く様に出来てる。物凄い吐き気がするだろ?」
藤崎を突き飛ばそうにも無駄だ。太宰は痺れているし、十五歳と二十歳では力に差がある。
「吐いて」
太宰はふるふると首を振る。死にたいのだろう。
「なら吐かせる。少し手荒な事するけど…悪いね。君に死なれたら困るんだ」
無理矢理にでも…適切な吐かせ方で、太宰が望む物を阻止した。
_
【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
551人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ