Necromance2 ページ2
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敦が太宰を捜しに行っている間。何やら国木田は誰かに電話を掛けて居た。然し出る気配は無く、現在三度目の発信。国木田の焦りが見える。
武装探偵社と云えど、幽霊を相手にするのは中々難しい。まだか、まだ出ないかと彷徨く国木田を、谷崎は心配そうに見詰めた。
「あの…国木田さん。一体誰に電話をしてるンですか?」
「奴め、矢張り出ないか。…何、一寸した知り合いだ。俺が教師をして居た頃からのな。かなりの変人だが」
ぱたんと携帯型端末を閉じ、溜め息を吐く。国木田が自ら過去の事を口にするのは珍しい。懐かしげにする国木田を見て、目をぱちくりとさせる谷崎兄妹。
ナオミが目を輝かせて、普段聞けない国木田の昔話についてこう訊ねる。
「生徒さんですか?」
ナオミの質問に、国木田は首を横に振る。そして癖の様にカチャリと眼鏡を押し上げた。
「五歳年上の男だ。俺の生徒も世話になった。それだけだ。そして奴は今、この街で死霊術師をして居るらしいからな。幽霊について詳しいかと踏んで連絡をしたが…案の定出ない」
国木田の五歳上。つまり二十七歳の男。国木田が歳上を『奴』呼ばわりなど、その二十七歳の男は相当…変人なのだろうと谷崎は思った。
そして、四度目の発信をする。
ずかずかと店外へ足を運び、外で叫ぶ。
「暇だろうが!!早う出んか藤崎ィ!!」
未だ繋がらない『藤崎』と云う男に、怒鳴り付けた。そして出ても居ないのに「働け無職男」だの「駄目人間!」だのと罵声を浴びせる。
「出ないって事はその人、今は忙しいンじゃ…」
「彼奴は暇さ。二年前に職を辞めちまってるからねェ」
先程まで国木田が座っていた席に、黒髪の女性が腰掛ける。与謝野だ。皆『藤崎』の話をすると、呆れた様な顔をする。
「じゃあ…与謝野さんも、藤崎さんを知ッてるンですか?」
谷崎は藤崎について何一つ知らない。その為、少し興味あり気に与謝野にそう訊いた。
藤崎と云う男は与謝野より歳上。与謝野まで『彼奴』呼ばわりである。
「知ッてるも何も無いよ。無駄に善い顔面とは裏腹に変人だ。気を付けな」
探偵社員が口を揃えて云う程の変人。それも谷崎とは九歳差と来た。もし会うとなれば緊張する。何故か腹痛が襲って来た。
「ぼ、ボク一寸トイレに……」
と、席を立つとナオミも後を追って立ち上がる。
「お待ち下さい兄様!ナオミも付いて行きますわ!」
「だ、駄目だよ!」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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