君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage６０ ページ10

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丸い氷で騒いで居たレイが、じっ…と、あどけない声の方を向いて固まったのだ。


まるで、会いたかった者に会えた様に瞳を揺らし、唖然として居た。


太宰はそんなレイの反応を見過ごさ無かった。




「……えっと、何ですか」



カウンターの机を挟んだ向こう側に、バーテンダー姿の少年が居た。金色の瞳、亜麻色の髪をした…狙撃手の少年だった。勿論少年は、レイの事を覚えて居ない。それでもレイは覚えて居るのだ。


それでも、他人の振りをしなくてはならない。で無ければ太宰に、彼が狙撃手『隼』だと悟られて仕舞う。


レイは首を振って、目を逸らした。然しもう遅い。太宰にはお見通しだ。太宰もこの少年が『隼』かも知れないと見て居たが、今のレイの反応で確信を得た。


それも兼ねて、レイを此処へ連れて来た。



少年が働く、このバーへ。



少年の名は＿＿＿＿。



「あぁ、北森君。彼は私の部下。海を凍結させた報道で一杯だっただろう？その張本人さ」



少年は、首を傾げた。長い睫毛が瞬いて、太宰に告げる。



「いや、俺見て無いよ。今日七時からずっと働いてるから」



バーテンダーの少年＿＿＿＿北森は、七時から働いて居た為、大騒ぎになった報道を知らない。



「えぇ〜、突然の嵐の異常気象と海の凍結。かなり凄まじい報道なのだけど…安吾何か持ってない？」



「何かって何ですか」



太宰が云う何かとは、大方報道やら何やらを見せられる端末の事だ。凄まじい報道だったと知る織田も、太宰に次いで発言する。



「何か無いのか、安吾」



「ですから、何かって何＿＿＿＿」



「なんかないのか、あんご」



留めのレイ。原因は貴方でしょうと眉間を摘んで溜め息を吐く。そして目の前の北森に助けを乞う様にちらりと視線を向けた。


すると北森は、




「何か無いんですか？坂口くん」



にこり。営業スマイル並みに笑顔を浮かべて、北森まで安吾に『何か』を要求する。


精神の集団リンチ。徹夜明けの安吾の頭に響く。




「うふふ。報道見れる端末無い？」



太宰が云い変えて安吾に云う。安吾は「元からそう云って下さい」と、鞄から仕事で使って居た端末を手に取った。



「これです、北森君」



カウンターでノート型端末を滑らせて、画面を北森の方に見せた。



織田も画面を覗き込んで、再度その凄まじさを目に焼付ける。



「凄いな。これはお前がやった物なのか？」




「ちがうぞ。あれ？これ俺か？…あ、俺だ。たぶん」


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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