君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage８４ ページ34

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レイが銀髪の吸血鬼の心臓に杭を刺した瞬間。辺りは静寂に包まれた。あれだけ凄まじい音を立てて居たこの場所は、一気に静まり返った。


吸血鬼の命を奪う方法は、決められた木を材料にした木製の杭を心臓に撃ち込む事。


微笑んだ銀髪の吸血鬼は、どさりと地面に倒れる。然し止まない薔薇色の瘴気。暴走は止まらない。



そんなレイに勢い善く抱き着いたエリオット。自我の無い兄に、帰って来てと強く抱き締める。



不思議な事に、周りの瘴気はフッ、と消えて無くなる。



＿＿＿＿『大丈夫、ブラッドさんだもの』。太宰の予測は中る。



妹のエリオットを、強く抱きしめ返したレイ。もう限界を通り越したレイは、そのまま膝を着く。それをエリオットが支えた。
レイは額を少女の肩に押し付ける。



「兄さん、もう子供じゃ無いんだから」



そう云いつつも、エリオットは微笑んだ。


















＿＿＿＿嗚呼、親愛なる始祖様。バビロニアの創世神リリス様。



再度私が貴女の元に下れる日が来ようとは。



然し貴女は土産物が好きだった。私が少しばかり一人旅をする事も沢山ありました。貴女は綺麗な物が好きだった。貴女は私が贈るものが好きだった。



私も貴女に何かを捧げるのが好きでした。何も手に持たずに貴女に再会するなど許されない。最高の土産物を、今、貴女が最も愛した物を、共に。






銀髪の吸血鬼は、自分の心臓に刺さる杭を抜いた。掠れる視界で、最期の力を振り絞り、レイの心臓を背から貫くように目掛け、豪速で杭を投げた。




気付いた時には遅かった。一番最悪な事が起こった。







「……え、…る」




エリオットがレイを突き飛ばし、力の残って居ないレイは地面に倒れ込む。杭はエリオットの正面から心臓に命中。





「嗚呼、嗚呼、思っても居ませんでしたが、また…彼女でも貴女は…喜ぶ」




銀髪の吸血鬼はそう残し、砂と化して消えた。それはそれは、愉快そうに。



ぐらりと倒れるエリオットを、地面擦れ擦れで何とか受け止めたレイ。




「…エル、な、だめだ」



と、少女に刺さる杭を抜こうとする手を、小さな少女の手が止めた。少女の顔を見ると、少女はふるふると首を振った。




エリオットの表情は優しくて、あの頃の様で。レイの口元が震えた。「如何して俺を庇った」何て思わせない様な、最愛の妹の…少女らしい笑顔。



少女の手がレイの頬に触れる。冷たく小さな手。その手を覆う様にレイの手が重なる。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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