君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage７４ ページ24

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やってしまった。そう思った。周囲の倉庫は壊滅状態。実妹の
エリオットの居場所を引き出そうとしたものの、相手は気を失って仕舞っていた。半殺しだ。



「…やりすぎたか？」



何時の間にか大惨事なこの状況に、レイは首を傾げて云った。少しばかりおろおろと見渡した。目に止まったのは、古株の看守の亡骸。レイは目を伏せた。


弔う暇さえ無い。プツ、と通信の繋がる音。通信機からはレイの主人の声が聞こえた。それは微かに不機嫌そうな声だった。



『レイ君、凄い瘴気だ。此方からも見える。力を使い過ぎ無いで。それに雷だって』


「もんだいない」


『有るから云って居るのだよ。あ！一寸中也！！ちゃんと攻撃防いでよね。私にまで瓦礫が飛んで来た！』


『るせェ！』と、中原の怒号も共に聞こえた。矢張り此処だけでは無い。米国の異能組織が横浜の街で猛威を振るい始めたのだ。



通信機の向こうでも交戦して居る。それも、レイよりも多くの敵と。



「だざい、俺はどこにいけばいい」


『私の所に。霧になっては駄目だよ。なるべく節約するんだ。匂いを追って来給え』


「わかった」



太宰との通信が切れる。レイは瞼を閉じ、太宰の匂いを感じ取る。血と煙の匂いで感じ辛いが、何度も嗅いだ事のある太宰の匂いなら混ざっていても判る。


瞼を上げ、匂いを感じ取った方向に顔を向けた。レイは瓦礫を踏み台にして跳び、建物の屋根に登った。更に強い風がレイの純白の髪を靡かせる。


視線の先。遠くに乱戦を繰り広げる音がする。レイは鼻が善ければ目も耳も善い。向こうで砂塵が立って居るのが見えた。


屋根の上を駆けた。大きな交差点に出ると右に曲がって、そのまま真っ直ぐ進む。






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ひと気の無い森の奥地。太宰と中原は米国の異能力者をこの場に追い込む事に成功した。木々が倒れ、重力に砕かれる。


この場に居る米国の異能力者達は全滅。彼等が弱者なのでは無い。相手が悪い。



「ハハハハハ！！」



高々に笑う声の主は中原だった。中原の腕や、体全体に赤黒い模様が巻き付いて居た。『汚濁』だ。中原の口の端からは血が流れている。血管が膨張して、今にでも張り裂けそうだ。



「参ったねえ…」



太宰が触れて解除すれば善いのだが、それが出来ないのだ。何せ中原はかなり高い上空に浮いており、その場で重力を駆使して居た。中原に触れる事が出来ない。


中原が力尽きるのが先か、レイが来るのが先か。そんな状況だった。

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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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