君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage６２ ページ12

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レイが余りに変な声を出すから、太宰は腹を抱えて静かに震えて居た。普通の人間がレイの様な反応をしてもさほど面白く無いが、常時真顔を貫くレイだから面白味があった。


一方の犯人、北森は嫉妬心も晴らせて腹が立って居たレイの、
予想外の悶絶を見れて楽しそうに笑ったのだ。


そんな北森の笑顔に、太宰も、織田も、安吾も。少し驚いた様に北森を見た。



「っはは、そ、そんなに強い酒でも無いでしょ、」



笑って、生理的に目尻に溢れた涙を指で拭い、レイに云う。レイは酒が弱いのか？はたまた北森の仕業なのか。「如何なのレイ君」と太宰が訊こうとレイに視線を投げた。



「…え……」



太宰が間の抜けた声を発した。レイの顔は長い前髪で隠れ、表情全てこそ見えなかったが…。それを認識するのには充分だった。



レイの口角が、ゆるりと上がって居た。



笑ったのだ。それが前髪で隠れた横顔で無く、正面から見れたならば、もっと…。




「ねえレイ君、笑っ…」



「なんだ？」




太宰の方に顔を向けたレイは、何時もの真顔。レイも無自覚で微笑んで居たのだの見える。唯一、正面からレイの表情を見た北森。


然し北森は、レイが滅多に…全く笑わない男なのだと云う事を知らないから、その価値に気が付かない。



これ程に、レイが北森の事を思って居るとなると…下手に手を出せない。それか一転、強力な『躾』に少年を利用出来るのも事実。



「…何でも無いよ」



だが気になる。どんな表情をしていたのか。バーテンダーの少年が見れて、所有者である太宰が見れないレイの表情。気になる。けれどレイは表情筋皆無の男。普通に考えれば、見る事は難しい。……忘れよう。



「北森君、お酒。強いの」



「治くん未成年でしょ。…あ、レイさんも未成年…でしたっけ」



未成年に酒を飲ませて仕舞った事を後悔して、俯いた北森。
レイはふるふると首を振って、キッパリと云ってあげる。



「俺はにひゃくにじゅ＿＿＿＿」


「あーー！織田作！お勧めのカクテル教えてくれ給え！」



レイの発言を遮るかの様にして、太宰が織田に云う。急に声を上げた太宰に、びくりと肩を震わせた北森と安吾とレイ。織田は異能で予言して居たのか知らないが、全く動じ無かった。



「あれだな。鴻(こう)が俺に初めて作ってくれたあの…オレンジの。美味いぞ」




「…こう、」




レイは少年の名をぽつりと呟いた。



少年の名は、北森鴻。レイと関係のある少年だ。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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