君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage５２ luxury liner ページ2

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女子供構わず鎖に繋がれ、枷に架けられて居た。何も知らずに
舞踏をし、提琴を弾き、食べ物を頬張ったその下に、こんな物がある等知りもせずに。


表向きは米国の豪華客船。然し裏は人身売買の密輸船。沢山の牢がずらりと並んだこの空間。どれ程の人間が閉じ込められて居るのだろう。


閉じ込められて居る人間の中には、驚く事に貴族の様な格好をした人間も居た。


レイがそれを見て居ると、太宰が横から云う。



「彼等は、この豪華客船の賭博場(カジノ)に負けた人達だね」





＿＿＿＿忘れ掛けて居た。何年か前、同じ様な任務を先代に命じられた事があった。今と違うのは、先代の時は『船に乗る者全てを殲滅せよ』だった。




覚えている。『助けて』と泣いて居た少年を。




幼い少年だった。綺麗な金色の瞳に、亜麻色の髪をして居た。その少年も金持ちそうな服を着ていた。両親が賭け事に負け、少年はそこに居たのだ。



酷く怖がって居た。だから警備が携えていた刀を奪い取って、なるべく怖がらせないように…人間らしく戦った。



沈没寸前の船。救えたのは、その少年だけだった。少年の記憶を催眠で抹消し、この先を生きて行ける様に。




そうだ。その少年の名前は＿＿＿＿、












ぶわ、と薔薇色の瘴気が発生する。石製の床がばきりと音を立て、割れて凹んだ。レイの純白の髪がふわりと逆立つ。



『鎖』は『意味』を縛る。一つの鎖が、意味を探す事さえ不可能にする。



自分は善い。昔も、今も、この先も、ずっと生きて居るのだから。だけれど『人間』には、時間が無い。短い時間の中で、泣いて終わる人間なんて、意味の無い人間なんて居ない。



自分以外の『隷属部隊』の四人も、何処か仕方ないと済ませて居た。それでは駄目だ。彼等に自由を、意味を与えたい。



それは、この世界は退屈だと嘆く…傷だらけの青年に対しても。




「だから落ち着き給え。彼等は如何仕様も無い。私達の仕事では無いよ」



「…ききたいことがある」



レイは握り拳を作り、独りでに強く握った。革製の手袋がギュッと音を鳴らす。太宰は笑って、レイに目を向ける。



「何だい？」



「…おまえは、いつも退屈そうにしているな。どうしてだ」



一方のレイは、太宰と目を合わせず、目の前の光景を真っ直ぐに見詰めながら云った。



「退屈さ。退屈で仕方無い。解放されたくて仕方がない」





「…なら素直に、







『助けて』といえばいい。ちがうか」


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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