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太宰の瞳が冷たく光る。四年前の様な目だ。然し太宰のそんな目線、中原は嫌と云う程に見て来ている。



「まァ、暴れられたら面倒だったしな。手前の所の女医に見せりゃ直ぐ治んだろ。ンで、何で判った?」



中原は太宰に、何故自分が北森をボロボロにした事が判ったのだと訊いた。




「判るよ、鴻君は強いもの。欠落人造人間なんかにやられりしない。君しか居ないよ中也」



だがそれだけでは無い。拳銃だけの北森を傷付ける事など、マフィアの手練ならば誰にでも出来る。


太宰はそれ以上は何も云わ無かったが、気付いて居た。



眠る青年の涙の痕だ。目尻が乾燥して赤みを帯びて居る。




「本当に脆いよねぇ、この子。強がりなだけで」




「泣き虫だろ」




「君がそれ云う?酔って泣き上戸になった癖に」





中原は怒鳴るのを堪え、不機嫌そうに車のドアのロックを開けた。




「頼んだぜ」




「傷付けて置いて何様なのさ?待って私が背負うの?鴻君
意外と重いから辛いのだけど」




それは太宰が貧弱なだけだ。中原何て片手で持ち上げて居た。
寧ろ陸上選手にしては軽くて、筋肉量も少なめだ。



はぁ重い、と本当に重そうに青年を背負う。四年前にもこんな事があったなあと懐かしく思う。





「じゃあな」




「もう来ないでね」





ケッ、と車を出した中原。太宰は見送る事無く、北森を背負って歩く。与謝野の元へと連れて行く。



探偵社ビルの階段を登っていると、背負う青年の頭がぐりぐりと太宰の背に当てられた。






「……おさむくん?」





寝起きの掠れた声で青年は太宰の名を呼ぶ。





「おや、正解。如何して判ったんだい?」





「…匂い」





「へえ、鼻善いのだね!」




太宰が感心していると、ふと気になった。どんな匂いがするのだろう。




「どんな匂いがするの?」




返事が無かった。返って来たとすれば、すぅと云った寝息だけ。


昨日は大会、今日は部活が休みでアルバイト。その後直ぐに探偵社の仕事を手伝った。眠くなるのも同然。彼だって万能では無いのだ。




寝ていた方が善いだろう。与謝野の解剖が待ち受けて居るのだから。








「疲れたあ!」





事務所の扉を開け、そう緩く叫んだ。





「おやァ?太宰。善いモン持ってるじゃないか」




与謝野が上機嫌で北森を寄越せと云う。太宰は青年を医務室まで運ぶ。





「此奴の歪む顔は絶品だよ。寝てンのが残念だ」




「うふふ、起こしますか?」



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【要】注意異能力者

北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。


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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年1月19日 15時

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