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別に、折角治くんが心配してくれて居るのに振り払うとか何様だあのド天然野郎とか思って変な音鳴らしたとかでは無い。


それなりの因果関係がある筈だ。仕方が無い…とは思って居るのだが。




「鴻君何押したの?」



「…判らない。つい」



無意識に押して居た。すると、重い音を立てて空間が揺れた。何やら上昇して居る感覚。拙い物に触れて仕舞ったか。




「ふむ…まぁ、この操作なら遅かれ早かれ私がやって居たよ。
まぁ?鴻君のせいで?だぁ〜いぶ早いタイミングになってしまったけれど」



くすくすと北森を小莫迦にする様に笑う太宰。流石の北森も莫迦にされれば黙っては居ない。




「あは、結果的に善いなら黙って」




輝かしい笑顔で太宰に云った。この海底研究所は現在、海面に向かって居る。元は多くの人造人間を放つ為に造られた操作だろう。



がこん、と建物の上昇が止まり、その反動で太宰と北森が蹌踉(よろ)ける。一方の少年は、微動だにしなかった。相当な体躯をして居る。




「あ〜、今直ぐに此処を出たいなあ。誰か壁を壊してくれ無いだろうか。ねえ、鴻君もそう思うでしょ?」



太宰はにこにことしながら北森に視線をやると、北森は腕を組んで冷静に考えた。確かにそうではあるが。



「壊したとしても、海の上な訳でしょ。泳いで帰るとか云わないでよね」



「一寸それ酷くない?私を誰だと思って居るんだい!」



太宰がそう云うのであれば、何か策は五万とあるのだろう。そうして太宰と北森は、じい…と少年を見詰めた。


当の少年はキョトンとした顔で、何も判って居ない様子だった。




「レイ君。何処でも善いから壁壊せない?」





少年は首を傾け、暫く考えていた。そして何か思い付いた様な顔をしてこう口にする。




「むりだ」




「考える必要無かったじゃん、今の」




北森が呆れた様に少年に云う。ペースが完全に少年に持って行かれて居る。隣で太宰が何か動いて居るので太宰の方を見ると、太宰が腕の包帯をしゅるしゅると解いて居た。


太宰は珍しく露わになった腕を、純白の少年の目の前に掲げた。




「これがあれば余裕だろう?」




初めて…少年が顔を顰めた。鋭い目付きで、太宰を睨み付けたその少年。咄嗟に北森は太宰に傷が付くと思い、つい口走った。




「だめ、俺の腕にして。吸血鬼(ヴァンパイア)なんでしょ。お前」




少年は酷く困った様子だった。幾ら化け物だろうと、男の血は願い下げだ。


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【要】注意異能力者

北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。


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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年1月19日 15時

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