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約七十体もの人造人間が、何かに一斉に飛び掛かる。


然し。



その人造人間全てが嵐に吹き飛ばされる様に、八方に散った。



そこから見えたのは、先程の『少年』。



北森の異能力も、条件が揃えば触れずとも人を手に掛ける事が出来る…中々に有能な異能力だ。けれども人造人間は北森に見向きもしない。それ程までに少年が、超越した異能の持ち主。




「おや、遅いじゃないレイ君。珍しい物でも見てたの?」



少年は、太宰の問いには答えなかった。只ひたすらに、人造人間の眉間を打拳で貫通し、悉く殲滅して行く。




「…は?珍しい物って何」



人造人間は少年に任せて平気だと判断した北森。あの少年を見たら安心した。だが敵に回すのは御免だ。



「いや何ね、昔彼と任務に行ったのだけど…彼、蟻の行列に夢中になって任務どころじゃ無かったのだよ」




「…莫迦?」



「天然物の莫迦さ」




よし。と太宰が胸を張り、最後の一桁を入力する。


すると____青い光が煌めき、広まった。眩しくて目を閉じる。光が収まり、目を開けて人造人間の方を振り返ると、人造人間全てが倒れていた。


それが全て少年による物か、『人造人間の全停止』の機能による物か、定かでは無い。




「これで、新道さんの人造人間も停止しただろうね」




この一件は、全ての人造人間を否定した訳では無い。
『新道財閥』が作り上げた人造人間を否定しただけである。



どさ、と黒い円套の少年が膝を着いた。





「……彼も限界だったみたいだね。何せ『血が足りて居ない』」





太宰が意味ありげに呟いた。ゆっくりとした足取りで少年に近付いて行く。ふと少年が自分の腕を見て、鋭利な牙で自身の腕に噛み付いた。




流れる自身の血液をごくりとひと口飲んだのが見えた。



その様子に太宰は駆け足で近寄り、急いで少年の腕を取った。





「それはやっちゃ駄目だって教えただろう?何度云えば判るんだい」





少年は無表情のまま立ち上がり、太宰を振り払った。





「もうおまえには関係ない」





無愛想で無機質な声。少年は太宰を払うと、薔薇色の瞳で太宰を見据えた。



その緊迫した雰囲気を壊す様に、北森の方角からビーッと変な音がした。




太宰と少年が一斉に北森を見る。






「ご…ごめん…?何か変なの触りました」






北森は心底申し訳なくなったのか、敬語で「変な物を触った」と丁寧に告げる。




太宰が「げえ」と声を発し、頭を抱えて居た。


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【要】注意異能力者

北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。


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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年1月19日 15時

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