percentage over１０５ ページ5
_
「…ふむ、向いて居ると思ったのだがね」
鷗外は、心底残念そうに溜め息を吐いた。北森の目を見れば、
加入を否定している事くらい判る。
「では、北森鴻君」
然し簡単には諦めが付き難い。
「武装探偵社同様、我々に協力すると云うのは如何だろう」
鷗外の狙いは、人造人間とそれを操作する組織の殲滅。
そして、
太宰が青年に掛けた、枷を外す事。北森は自身に枷を掛けられて居る事等、到底自覚していない。
「却下」
協力程度であれば承諾を得られると誰もが思っていた。北森は既に此処に連れて来られた時点で殺される事を覚悟をしているので、好きに云う様にした。
「もしそれが治くんだったらやる気が出たんでしょうけど、
すんません。如何にもやる気が一切出ません」
ポートマフィアの首領相手に、爽やかで輝かしい笑顔を顔面に貼り付け、相手を手で追い払う様な仕草をした。
すると、ガッと両肩を掴まれた。中原が血相変えて北森を掴んだのだ。
「すみません首領。此奴頭打ったみたいです」
「あは、確かに打った」
「手前は黙っとけ」
すると目の前の威厳がクスクスと笑い出した。然しその笑みは明るい物では無く、何処か恐怖を覚える笑み。
「面白い青年だ。我々は君の為になる事しか指示は出さない。
これで如何だい？」
冷たい瞳。これ以上断れば、無事では居られない気がした。
目を閉じて、決意した様にゆっくりと開いた。
「…判りましたよ」
「それは善かった。所で北森君」
鷗外はにこりと微笑むと、北森の精神を突き落とす作戦に出る。
「君は探偵社に、善い様に利用されて居るのでは？」
特別利益がある訳でも無く、太宰に頼まれて協力している。その証拠に今日、危険な仕事に一人で身を投げて居る。
「はい？」
「その事は自覚があるのでは無いかね？君に特別な利益は無い。それに」
遮る様に、青年の笑い声が聞こえる。漫才でも聞いた様な笑い声が。
青年は畏れる事無く、鷗外に近付く。鷗外の傍に居る武装した黒服二名が、北森に銃口を向ける。だが畏れない。自身の命など とうの昔に捧げている。
畏れるとすれば、それは只一つだけ。
「俺の利益は…治くんが居ればそれで利益です。それが俺の意味です。探偵社は律儀に報酬までくれる。今日だって、皆の反対を全力で押し切って一人で来ました。
それで、他に質問は有りますか？」
_
percentage over１０６→←percentage over１０４
【要】注意異能力者
北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで！！会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、！このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます！！！ (2022年12月23日 21時) (
レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました！それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます！！！！！面白いといっていただけて何よりです！！ (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…！連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません！！ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです！！ (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です！本当にありがとうございます！ (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
