文豪共、酔い潰れて溺れろ。【文豪ストレイドッグス】−黒翼編−

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「早く。早く治くん。全停止全停止」



「こりゃあ拙いねえ。急かさないでくれる？あ、ほら！また間違えちゃったじゃないか！」



ビーッと装置が赤く光り、『error』と表示される。目覚めた人造人間の硝子製のカプセルが、ぱきりと音を立てた。




「今こそ鴻君の射撃能力開花させる所じゃない？一寸頑張ってくれ給え」



「あははは莫迦なの？俺二十発近く撃ってんの。弾の替えももう無い。だから早くして！」




するとまたビーッと太宰が間違えた音。




「何してんの！？」



「ごめん、だって急かされると如何してもねえ…あと何発あるの？」



五、と指を五本立てて太宰に見せた。ふむ、急がなくてはと太宰も漸く本気で取り掛かる。


パリン！と全ての硝子が割れ、中から一斉に人造人間が出て来る。眠りから冷めた様に伸びをする人造人間も居れば、髪の毛を触ったり、北森が善くやる独特の仕草をする人造人間も居た。




「うわ、あの仕草とかまるで鴻君だねぇ。こりゃあ凄い」



「善いから治くんは装置に集中して！」





残り五発しか無い銃を構えた。一番近い人造人間から眉間を一発。外すのは許されない。にしても、自分が撃たれて死ぬ時はあんな感じなのか、と思う。気分が善いものでは無いな。


そうして近付いてくる人造人間に更に一発。残り三発。


更に近付く『自分』に、同時に二発。もうあと一発しかない。
「治くんまだ！？」と云いたいが今度こそ間違われては困る。




「鴻君、後少し」




「判ってる…！」




ぱん！最後の一発を撃った。もう反撃の術が無い。自分にもあの『少年』の様な力があればと、己の無力さを恨んだ。然し産まれたてなのか、動きが鈍いのが幸いだ。


近付く人造人間。北森と至近距離。空の銃を突き付けて、撃つぞと脅してみる。


人造人間が腕を振り上げた。知っている。人造人間の力は人間の何倍もある。だがその手はぴたりと止まった。





「知って居るかい。鴻君」





太宰はまだ作業をしている。全停止に成功した訳では無さそうだ。




「何が…！」




人造人間達が全て、この空間の入口の方を振り返った。





「人造人間は異能力者を襲う様設定されて居る。身近に居れば襲うし、複数居れば…より強力な異能力者を襲う習性がある」




北森を襲って居た人造人間達は、一斉に入口の方へと飛び掛かる。まるで今、機能が安定した様に機敏な動きで。



何かが居る。






「これが如何云う意味か、判るかい？」



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【要】注意異能力者

北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。

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