文豪共、酔い潰れて溺れろ。【文豪ストレイドッグス】−黒翼編−

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暗く、冷たい。嫌な予感しかしない。此処に来ては行けないと…頭痛と共に強く訴えて来る。扉が開いてから、何故だか頭痛が酷い。


太宰から離れてはいけない。暗くて何も見えない為、太宰の外套を掴ませて貰って居る。



無意識に呼吸が乱れて、荒くなる。それを如何にか整えようと必死に息を止めたりするも、一向に呼吸は治らない。首筋を伝う冷や汗。気持ちが悪い。





「鴻君」




「…ん、な、何」




「息は止めないで。ちゃんと吸わないと治らないよ。ゆっくり吸って、吐いて」




太宰は北森の呼吸が乱れている事に気付いた。北森の呼吸法に問題があったのだ。息をする事を忘れる程の悪寒が、ずっと北森を襲って居た。無意識に息をして居ない。その上、意識的に息を止めて居る。


当然、人体は酸素を取り入れようと必死になるだろう。だから呼吸が乱れて居る。




「は…、は、」




きちんと息を吸える様になり、北森の呼吸も安定して来た。
その様子に太宰も安堵し、ふぅと肩を下ろす。



暗い道の先に、何やら紫がかった淡い光が見えて来る。あの先に、『人造人間の全停止』の方法がある。太宰はそう踏んでいた。





「だめ」





くい、と北森が太宰の外套を引く。





「…行っちゃだめ」




北森がらしくも無く弱気なのだ。あらゆる物事に対し負けず嫌いで、傲慢で、生意気な彼が。彼処に、彼をこれ程までに弱らせる何かがあるのだ。





「ううん。行くよ」




太宰の声を聴き、青年は不安そうに太宰を見上げる。青年は答えず、再び俯いた。


暫くしてこくりと小さく頷く北森を見て、太宰は軽く微笑むと、再び歩みを進めた。




淡い紫色の光が、段々近付いて大きくなる。二人は無言のまま、紫色の光の根源に辿り着く。




ぴたり、と太宰が足を止めた。





想定外。いや…予測はしていたが、これ程とは。それも…。




北森が恐る恐る辺りを見渡した。






＿＿＿＿嗚呼、矢っ張り。






何奴も、此奴も、何れも、之も、全部、何もかも全て。






「…う」





がく、と北森が膝から落ちた。耐えられない吐き気が襲った。拙い。拙い。今度こそ本当に呼吸困難に陥った。




聴覚が鈍る。太宰の声も、何も聞こえなくなる。







「＿＿＿＿はぁ、あ、は…っ、うあ、」





自身の喉元を押さえて、耐えられない苦しみから解放されようと首を絞めて死のうとする。





傲慢、高潔、強気な青年を、こうまでにする光景。






それは、何か。




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【要】注意異能力者

北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。

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