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気味が悪い程、真っ白な天井。真っ白な壁。普通の部屋だ。
寝台に寝かされて居る。左手だけ、手錠でヘッドボードと繋げられて拘束された状態。ふと右腕を見ると包帯が巻かれており、手当が施されて居た。
その腕に織田から貰った赤い御守りは無い。
だが頭は冷静だ。冴えている。太宰を助けなければ、と云った正常な判断が出来る位には。
あの御守りを無くして仕舞ったのは悲しい。あの人造人間が憎い。だけれど、何時までもそれで悲しんで、太宰を助けられないとすれば…それこそ織田に顔合わせが出来ない。
上半身を起こす。右側に目をやると、手が届く所に机が置かれ、その上に洋菓子などが置かれていた。
「……何の真似?」
「あら。目が覚めたのね」
北森は、部屋の隅で腰掛けていた女性を睨み付けて云う。恐らくこの女性は看守だ。北森が妙な事をしない為の監視係。
ふわふわとした金髪。腰までの長さ。色香の漂う綺麗な女性だ。
されども、北森の趣味からはド外れ。
「貴方はご子息様だもの。丁重に扱う様に云われているわ」
「丁重?あは、これが?」
がしゃんがしゃんと自身の左手首に繋がれる手錠を強調した。
「一応よ。その洋菓子は食べていいのよ。毒なんて入って無いわ」
少し香る酒の匂い。オレンジに近いか。柑橘系リキュールと云えばグランマルニエ。グランマルニエはお菓子作りにも使われ、特にチョコレートとの相性が抜群。
「……わぁい!俺お菓子大好き!頂きまーす」
と、お菓子に釣られる無邪気な男を演じる。あまり食べ漁るのは怪しまれる。一直線にチョコレートのお菓子を手に取って、一口。
…大当たり。これが酒のお菓子だ。打開策はまだある。然し酒では無い固形物の状態だと操れない。
如何にか、上手く……あの女の体内にこの酒菓子が入れば。
いや、それはまだだ。先ずは手錠を解いて貰うのと、太宰の居場所を聞かなければならない。
「お姉さん」
「何かしら?」
「お姉さんも一緒に食べない?これ凄く美味しい」
看守の金髪の女性が足を組み替えた。一度北森に視線をやるも、直ぐにその視線は逸らされた。
「遠慮して置くわ。甘い物は余り得意では無いの」
軽く舌打ちをしそうになるのをぐっと堪えて、そうなんだとしょげた様に演じる。
「ねぇ…お姉さん、綺麗だね」
無邪気系男子策は廃止。作戦大いに変更。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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