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一、二歩、後退った。



逃げたい。そう思って、踵を返して玄関の扉に向かう。





「逃げるな」




見えない枷。太宰の一声で北森の動きが止まった。枷を掛けられて居るのは、あの『少年』では無く、北森の方なのかもしれない。




「答えて」




転んだ痕、殴られた痕、引っ掻いた痕、言い訳は思い付く。けれどそれが口に出来ない。何時もなら簡単に云える嘘が、云えない。






「…お、怒らない…?」




「怒るよ、答えによってはね」




北森が黙り込んで居ると、太宰は深く溜め息を吐いた。




「寒いから此方においで」





と、リビングの方に手招きをした。此処は俺の家なんだけど。と思ったが口にはしないで居る。





「……うん」








____
__







「____森さんからの、ねえ?」




結局、太宰からの鋭い目線に耐えきれず全てを話してしまった。
無理だろう。太宰のあの目線を長時間喰らうのは。少なくとも
北森には無理だ。





「…今回は、本当に鴻君の為になる様な任務だったのかい?」




「…うん」




「狙撃銃使ったんだ?」




「…うん」




余りにも罪悪感で潰れて居るのか、同じ様な動作と同じ様な返事しか帰って来ない。




「…今日のお昼ご飯何だった?」




「…うん」





駄目だな、これ。太宰は頭を抱えた。太宰依存性である北森に取って、太宰からの冷たい視線は大痛手だった様だ。


少し責めすぎたか、と太宰の方が反省してしまうこの状況。




「鴻君、私怒ってないから」




「…ごめんなさい…けど俺、後悔はしてない。でも治くんとの約束破ったのは」




「はいはい、もう善いから落ち着いて」




今回無事だったから善いものの、これを機にマフィアは北森を扱って行くだろう。太宰はそう確信した。




「善いかい鴻君。マフィアはこれから段々、君の為でも何でも無い、マフィアの為だけの事を君に要求する。森さんはそう云う人だ。自分の判断で判らなくなったら、直ぐに私に云う。これだけは守って」




じゃ無かったら絶交。と、更に念を押した。それは嫌だと北森は首を縦に大きく振った。



すると、太宰の表情が普段通り柔らかくなった。





「…でも、その血痕は気になるね。鴻君は狙撃手な訳で、接近戦は無かったのだろう?」





太宰ならば、あの少年について何か知っているだろうか。






「…白い髪の男に会った。鎖が付いてて…意味不明な異能だった」







太宰の目が、見開いた。




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【要】注意異能力者

北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。


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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年1月19日 15時

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