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「…如何しますか、赤髪のお兄さん。勝手に作っちゃっても?味はちゃんと保証しますよ」
少年は所謂、営業スマイルで織田の方に提案する。
織田もどんな物が出てくるか少し楽しみになった。
「それにしよう」
微笑んだ織田に、少年は自信気に口角を上げた。それは初めて見た少年の、心からの微笑みだと思う。
「了解。そっちの包帯さんはもう善い?」
「私は安吾が来るまで、未だ善いかな」
ふぅん。と軽く云った所で、少年は織田にカクテルを作る為、棚にある酒を眺めた。
これだな、と一人頷き、一つの酒を手に取った。
「驚くと善いよ、織田作。この少年の腕は、マスターに負けずとも劣らない」
太宰が小声で、織田だけに呟く。
「そうなのか?」
太宰にこう云わせるとは、中々の腕の持ち主なんだなと、織田は思う。
少年が手を止めると、次はオレンジを取り出し、それを小さく切った。
「どうぞ」
橙色に輝くそのカクテルは、とても綺麗だった。
「これは?」
「アプリコットブランデーとオレンジを混ぜたバレンシア。
好きだと思いますよ」
少年は余りの上出来さを自慢する様に、腰に手を当てて、微笑んだ。
織田は杯に口を付け、一口味わう。
飲んだ途端、織田の表情こそは変わらないが…周りのオーラが
ふわふわとし始めた。
「あ、織田作がふわふわしてる!凄いじゃないかバーテンダー君!」
「確かに、美味いな…これは好きだ」
織田が橙色のカクテルを眺め、今度は少年に視線を移して、ほんわかと微笑んだ。
「一人で店でも出せそうだな」
「あは、それは御免です」
少年の笑顔は、先刻と同じ様な作り笑顔に戻っていた。
「ねぇ、少年。名前は?」
ふと、太宰がバーテンダーの少年に訊いた。
少年は目をぱちくりさせ、太宰を見ていた。
「えぇ?そんなに驚く事かい?」
「いや…、北森です。北森
少年は笑顔の仮面を付けているかの様に、笑顔を絶やさなかった。
「北森君、ね…覚えたよ。私は太宰。太宰治だ。こっちのふわふわしている彼が、織田作だよ」
「オダサク」
中途半端な名前に、少年…北森は復唱した。
「イントネーションが違うかな?もう一回云ってご覧。
はい、私の後に続いて。お だ さ く」
「織田くん」
「君あれだね、生意気だね」
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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