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…あ、このポテトサラダ美味しい。
ポテトサラダに林檎って合うのだね。
そう思って黙々とポテトサラダを食べていた。北森がうとうと
し始めていた為、起こさないようにしていたのだ。
と、思ったのも束の間。
寝台から北森が落ちた。
「え」
「…痛い…」
「え、な、何…?如何したの!?」
北森が床にうつ伏せていた。突然の事で不安に思った太宰は、
北森の元に来て揺さぶった。
「寝れない…」
「何で…?」
「美味しいって、云ってくれないと…寝れない…」
北森は辛かったのだ。もし不味いと思われて居たら如何しようと。上手く作れた筈だが、太宰に不味いものを食べさせたとなれば死ぬしかないと思っていた。
「…うふふ。なあんだ、そんな事?」
「そんな事じゃ済まされない…」
余りにも北森の様子が面白いので、少しからかってみる事にした。
「不味〜い」
その言葉に北森はうつ伏せたまま床を叩き、
「や、矢っ張り…」
と云った。
「嘘だよ」
その後に本当はすごく美味しかった。と付け加えた。
「…死ねばいいのに」
「おや、善いの?」
「うるさい……」
北森の口の悪さは、根っからの物なのだろうと思った。
北森は重い体を起こした。傷が痛むが、太宰が居なくなる前に伝えなければならない事がある。
「…テレビの横の、引き出し」
テレビの横にある引き出しを指差して、太宰に示した。
「うん?」
太宰は首を傾げ、テレビの横の引き出しを見た。
「開けて」
「人遣いが荒いなあ」
とは云いつつも、何が入っているか気になった太宰は、少し軽い足取りで向かい、引き出しを開けた。
「…治くんのは、左の箱の方だよ」
太宰はひとつの箱を手に取った。それは綺麗な包装紙で、凝ったように丁寧に包装されていた。
「…北森君、これは?」
太宰が疑問符を浮かべた。
「____『彼奴は、明るい色でも似合う。』って、云ってたよ」
北森は、誰が云ったとは敢えて云わなかった。太宰には判ったのだ。その言葉だけで。
「織田作…?」
「正解」
太宰の声は、小さかった。そうして箱と北森を交互に見た。
「開けても善いかい」
「うん」
太宰はその包装紙さえも破らず、解くように丁寧に剥がして行く。
箱を開けると…翡翠色に輝くループタイが、部屋の電灯の光に
反射した。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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