文豪共、酔い潰れて溺れろ。【文豪ストレイドッグス】−黒の時代−

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銀座のバー『Lupin』にて。




そこに居たのは、北森と太宰だった。然し今日はマスターが居て、マスターが店番の日だった。




そこで下働きをしていた北森。




太宰が何時もより早く一番乗りで来た為、北森は奥の厨房から
ちょいちょいと手を招いて太宰を呼んだのだ。




そう、此処は調理等をする厨房。






「え。何？北森君…私を具材にでもする心算？」




「見れば判るでしょ。それともされたいの？」





痛みも苦しみもなく死ねるならされたい、と太宰は云ったが、
北森はそれは無理だと手で払って却下した。





「織田くんと坂口くん。二人に日頃の感謝を込めて料理を作りたいと思います。料理はチームワークだよ」



北森は両手を腰に当て、得意気に調理をする食材や器具などを指差して云った。




「…ん？私は？私への感謝は？」




「はい？何て？治くんも二人にする側に決まってるでしょ？」




「私、仕事場では二人の上司なのだけどー？」




すると北森は人参を手に取って、人参を使って太宰を指差す。
前屈みで太宰を上目で見た。





「ぶ、れ、い、こ、う。感謝に上下関係はないよ」




そんな気怠そうな死んだ目で云われても困る。





「…はぁ、そうかい？あのね…私ね、包丁使うの初めてなんだ。
一寸楽しみになって来たよ！」





その言葉に、北森はぴたりと止まった。この人絶対指切る。
絶対切る。絶対血出して死ぬ。





「具材茹でた事は…？」




「無いよ？」





それも死ぬ。火傷する。目に熱湯入って失明して死ぬ。


と、北森の中で過剰な被害妄想が電撃の如く駆け抜けた。






此処まで北森が心配に思った理由は、北森の本性にある。
北森自身は気付いて居ないが、北森は＿＿＿＿。




太宰は北森の表情、仕草、動作、それら全てから、北森の奥に眠るその特性に気付いた。




間違い無く北森が『隼』だ。北森の奥に眠るその部分に、太宰は漬け込むと決めた。




北森の特性とは、後に判明する。今は…その時では無い。






「治くんはどれも出来そうに無いね」




「…じゃあ、私は何をすればいいのさ」






北森がうーんと悩んだ。そして何か思い付いた様に、手をぽんと叩いた。







＿＿＿＿
＿＿






「治くんそれ、そのじゃがいも袋から出して」





「はーい」






「あ、ごめん。そっちの豚肉も袋から出して」





「はいはーい」






北森が太宰に頼んだのは、袋から具材を取り出す係だったのだ。



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