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「あ…まぁ。高跳びやってるけど…」
北森が云うと、太宰は矢張りそうかと頬杖を着いた。北森が余りにも何故判ったのかと云う顔をするから、太宰は口を開いた。
「君のね、腕の擦り傷だ。そんな所にあるなんて、きっと背面跳びをしてマットに着地した時に、擦れたんだろう?」
先刻洗い物をする際、腕まくりをしている時に見たと太宰は云った。
当の北森は、
「ばれちゃった?」
と作った笑顔を見せていた。
太宰が中原から聞いた所、『あいつはなぁ〜、飛んだんだよ!俺の上!あとはえー足が、』とべろんべろんに酔って話していた。
北森が走り高跳びの選手であるならば、飛んだと云う事も納得出来るし、足が速いと云うのも納得出来た。
やっと意味不明な中原の証言が繋がった。
然し、未だ明確では無い。完全に彼だと証明出来るまで…。
「北森君、また此処に立つことある?」
此処、とは何時もはマスターが居る場所だ。
勿論マスターも恋しいが、北森に会える機会があるなら、それは是非知って置きたい。
「マスターも、助かるって云ってくれたし…週に三回か四回、
この時間なら居るよ」
「じゃあ来るよ。善いよね?織田作、安吾」
太宰は足をぱたぱたさせ、微笑んで二人に伝えた。
「あぁ。次のお任せカクテル、何が出るか楽しみだ」
それは、毎回続く制度になったと云う訳か。
北森は若干嬉しくもあった。
「ええ。僕も書類整理が早く終わった日には」
「此処でやれば善いんじゃない?」
「無理ですよ」
太宰は「え〜」と口を尖らせた。
「……っふ」
自然な笑い声が聞こえたのは、北森の方からだった。その笑顔は、ふわりと笑った少年らしい笑顔だった。
「あ。笑ってる」
自然と笑った北森を、太宰は指をさして指摘した。するとその
笑顔は、すんと何時もの営業スマイルに戻ってしまった。
「俺は何時も笑ってるでしょ?」
「うわ戻った。…さぁ、如何だろう?」
____私には君の笑顔は、仮面にしか見えない。
「じゃあ三人共、俺の売り上げを上げに来てくださいね」
「北森君て、絶対腹黒いよね」
閉店時間はとっくに過ぎて居た。
時間を忘れる程、北森にとってこの時間が楽しく思えた。
黒き翼は、感情を持ってはいけなかった。
今迄閉じ込めて居た欲が、情が、溢れてしまう前に。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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