第八十舞『畏まりと感謝』 ページ30
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何とか完成した。
二時間くらい掛かったか。
二時間で一品だけ。しかもそれがスープだけとは。
情けなく思った。本当に自分はただのゴロツキだったのだと自覚をする。
「…蟹も入ってるし、野菜も入れた」
よし！と頷き、あとは帰ってくるか判らない太宰を待つ。
ここに住まわせて貰って居るのだから、これくらいのお礼はしても善いだろう。
「何してるの？」
「太宰が好きそうな感じのスープを作っ…」
声がした方に振り返ると、アイザックは石の様に硬直する。
瞬きもせず、開いた口が塞がらない。
「うわ！？」
正気を取り戻した時には、アイザックの真後ろから太宰がひょいっと身を乗り出して居た。
「何！？此処私の家だから！不法侵入じゃないから！」
太宰もアイザックも驚き、部屋が揺れる様な声を上げる。
驚くのはまだ早い。アイザックはスープ以外全て失敗しているのだ。丸焦げになった物体が沢山並んで居る。
「アイザ君、これ何の儀式…？」
太宰は
「儀式じゃねぇよ！見れば判るだろ！」
「黒魔術…？」
判っている癖に、アイザックを莫迦にする太宰に対し、
アイザックの沸点は限界に近付く。
一度怒りが沸けば、簡単には治まらない。
アイザックは冷蔵庫から蟹缶を手に取り、太宰に投げつけようと構える。
アイザックの怪力でそれを投げられれば危ない。
「待って！駄目！話せば判るよ」
両手を前に突き出し、苦笑いをしてその場を凌ごうとする。
「…食え、これ。あったかいから」
アイザックの表情は一変し、照れ隠しをする様に俯いた。
小さな鍋の蓋を開けると…卵と蟹、野菜が入った食欲をそそる
匂いのするスープ。
「…え？これ、君が作ったの？本当に？」
「かなり、調べたけど」
唯一出来たものがこのスープだったのだ。
他は調べて作っても、変な味になるし黒くなった。
「いいの？」
「善いって云ってんだろ早く飲め！」
恥ずかしくなったアイザックは、ぎゃいぎゃいと喧嘩腰に云い
放った。
アイザックは、自分が何かを作るのは初めてで、食べて貰う
のは少し緊張していた模様。
「不味いとか云ったら…ブッ殺すからな」
「君って本当、素直になれないよねぇ」
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要注意異能力者＿＿＿＿内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー：身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます！アイザックはしかも望んでない体質ですからね…！！実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…？？((激辛カレーは五分五分ですかね！！！？？ (2019年10月1日 19時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました！カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです！(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー！！ありがとうございます！見てくださったんですね…！！おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました！！！！ (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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