第七十三舞『記憶の芥蔕』 ページ23
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海の深淵に眠る異能兵器『
起動した場合、停止させる方法は不明。
空になった皿。
うずまきの店員の女性が、それを下げて行く。
「あ、有難うお嬢さん。とっても美味しかったよ」
太宰が女性に云うと、女性は有難う御座いますと軽く会釈した。
女性に小さく手を振った太宰。
女性がバックヤードに戻り、見えなくなった所で、太宰は何やら熱心なアイザックを見た。
アイザックは、記憶を失う前に自分が書いた冊を眺めて居た。
珍しい光景だと、太宰は暫くアイザックの様子を見ていた。
口唇に手を当て、真剣な眼差しでそれを見詰める彼は、やけに深刻そうな顔をする。
「アイザ君、如何したの?」
近くの太宰の声が聞こえない程、深い精神の場所に入り込んだ様だ。
太宰は、アイザックの目前で手を振るも、微動だにしない。
「アイザ君てば」
半分拗ねた様に云うと、アイザックはハッとして頭を上げた。
「…あ、何?」
「何、じゃ無いよ。君が珍しく大人しいものだから」
何時も煩い位のアイザックが、呼吸をしているか判らない程大人しいと、太宰の調子も狂うのだ。
アイザックは再び冊を見返し、ある頁に書いてある事を
トントンと指を差す。
「…異能兵器。ポートマフィアって奴と組むのか?此処の社長は?」
全てアイザックが決めた事を、彼自身は忘れて仕舞っている。
太宰はそれを責める事無く、丁寧に教える。
「君が云った通り、社長には伝えたよ。マフィアと組む、か…
まぁ、目的は同じな理由だしね」
「マフィアとは、仲悪いんだろ?」
アイザックの異能を取り戻す為とは云え、彼が記憶を無くして
仕舞うのは…かなりの痛手だ。
「この街を守る為には、ポートマフィアと組む事は必要だ。もしもの時には、防壁を造りたいからね」
太宰はアイザックの冊に、筆で異能兵器の眠る場所を説明した。
アイザックはまるで生徒の様に、太宰の話を聞く。
「此処が横浜。異能兵器の場所は乱歩さんが割り当てたから、
間違い無く此処だ」
横浜の街を書き、南西の海の方をぐるぐると丸で囲いながら云う。
「この街を守る為の防壁っての、そんなドでかい物誰が」
「君だよ。アイザ君」
言葉を遮り、太宰は続ける。
「正確には、ポートマフィアの芥川君と…君だ」
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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