11 ページ26
仕事も慣れてきて、早くも2週間が経った。これと言って誰かと関わることも無く、ひたすらに掃除のスキルが上がるばかりでなんなら暇を持て余す始末。
どうしたものか…
今日も今日とて仕事に向かおうとした時、クレアさんから休務のお達しをいただけた。
よし、家に帰ろう。
メイドは基本泊まり込みで仕事をする事になっていたらしく、夜は見回りをやる日もあるくらいだった。
どれだけ人がいないんだこの城は。
とりあえず必要な荷物を持って門をくぐる。
なんだか久しぶりだ、こんな穏やかな日は。
暫く森を歩いていると前から人が歩いてくるのがわかる。
こんな森に1人で…?
目を凝らすと向かいから歩いてきたのはあまり城に帰って来ない兄さんだった。
なんか、フラついてる…?
そう思って少しだけ近寄ると兄さんは前のめりに倒れた。
「っ!!!!」
咄嗟に身体が動き、地面に到達する前に滑り込みで助けることが出来た。
「兄さん、兄さん!」
仰向けにして気道を確保する。呼吸が浅い。
額に触れるとかなり熱く、恐らく熱だろうと察しがついた。
城までは遠いし…仕方ない、家に連れていこう。
兄さんを背負い、残り僅かの距離にある自分の家へと向かう。
…母さんは、私を覚えているのだろうか。
歩きながら考えてしまう嫌な予想。もし受け入れて貰えなかったら、なんて、考えたくもないのに。
「兄さん、もう少しの辛抱だよ。」
きっと遠方続きで疲れてしまったのだろう。肩から覗く苦しそうな顔に声をかけながら歩みを進めた。
「…着いた」
成人男性を背負って歩くのはやはり時間がかかってしまうもので。腕もプルプル言っていて限界に近い。
意を決してノックをする。
どうか、覚えていて。
「はい、どちら様?」
「!あ、」
「あらA!どうしたの?お仕事は?って、どうしたのその人!?」
やはり忘れられていたのかと思ったのに、その温かい声は私の求めていた言葉で。泣き崩れそうになるが、兄さんの事を優先しなければ。
「、ただいま母さん。」
「はいおかえりなさい。さ、入りなさい。」
522人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レラ - 面白かった!! (2020年5月2日 14時) (レス) id: c77952c361 (このIDを非表示/違反報告)
あずき・FB - 初めまして、めっっっちゃくちゃ好きです!!!(唐突な告白イベ) メイドになるっていう設定も凄いそそられます…![ps.因みに続編見れなくて何回か意識がぶっ飛びました((( あぁ…非ログ勢はつれぇよぉ…(心の叫び)] (2019年12月13日 1時) (レス) id: 8e99c8eed5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて何よりです(;A;)続編も楽しみにしていただけたら幸いです(>_<。)またよろしくお願いします! (2019年12月4日 20時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても続きが気になる物語です!勝手ながら、いつも更新待っています!(’-’*)♪これからの展開がとても楽しみです! (2019年12月4日 17時) (レス) id: ccb5120fa0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 優里愛さん» コメントありがとうございます!もうそろそろ終盤です!お付会いの程お願いします!(>_<。)ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2019年12月3日 21時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼雨茶 | 作成日時:2019年11月14日 9時