6話 ページ7
春「外に出て見ない?」
春一はそう言った。棘はその問いにふるふると首を横に振った。
春「えー、だって君と話すのは楽しいけどさ、外はもっと楽しいことがあるよ!君と一緒に外に出たらもっと楽しくなると思うんだ!それにまえに鬼ごっこの話したら興味持ってたじゃん!ここでは狭くてできないけど、外に出たら鬼ごっこもできるよ!」
棘は外の世界に確かに興味があったが、恐怖もあった。
物心ついてからずっとこの小屋におり、外には出たことがない、でも興味はあるどうしようかと綺麗な眉を歪めて悩んでいると
春「給仕さんがご飯持ってくる前に戻ればバレないよ!大丈夫!一緒に外に行こう!!何かあってもぼくが守ってあげる!」
そう言って笑う春一に棘は好奇心に勝てず、うん!と首を縦に振った。
いつも春一が通る小さな空気口を潜り、棘は初めて外に出た。
(いつもとは違う足の感触。いつもとは違う匂い。いつも窓ガラス越しに見てた景色。ガラス一枚ないだけでこんなに世界が違って見える凄い!)
棘はポロポロと綺麗なアメジストの目から涙を流していた。
春「え!!どうしたの??大丈夫?どこか切った?痛いとこあるの?小屋に戻ろうか?」
棘は違うと首を振る。感動しただけだと。
そして笑顔で春一の手を握った。
「(素敵な景色を見せてくれて、私を連れ出してくれてありがとう)」
口枷をしているので、喋ることはできないが精一杯の思いを春一の目を見て伝えた。
春一は照れ臭そうに笑って「どういたしまして」と言った。
心が通じた事に棘はまた嬉しくなって笑った。
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作者名:ウジン | 作成日時:2021年2月27日 15時