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thirty - two ページ35

彩side

夕食後、お父さんだけではなく、お兄ちゃんにも、、、お母さんにも来てもらった。

そして、”宣戦布告”として、本来の姿、ウィッグもカラコンもしてない、

本当の姿の私で、戦いに挑んだ。

「それで、話とは何かな?彩から話があるなんて、珍しいじゃないか。
、、、その姿を見せてくれるのも。」

お父さんは、優しい表情で、机に身を乗り出した。

言わなくちゃ。

机の下、自分でも無意識に、両手を握っていた。

『あ、あのね、、、お父さんもお兄ちゃんも、気づいてるかもしれないけど、
お母さんとのことで、話が、あ、りますっ・・・!』

言った、、、、言ってしまった。

その場にいる全員が息を呑み、緊張が張り詰める。

お母さんの顔も強張り、私をキッと睨んでいる。

自分でも震えているのがよく分かる。

でも。

ここで負けてなんかいられない。

「彩、全部話してくれ。」

私は顔を上げて、お父さんの目を見た。

その目は、悲しいような、怒っているような、真剣さが伝わってきた。

「な、何言ってるの・・・何もないわよ!」

「お袋は黙ってろ。」

お母さんの焦ったような言葉を、お兄ちゃんが怒気を含んだ声で制す。

『私は、、、』

勇気を振り絞って、今まであったこと、全てを話した。

参考書のことは、お兄ちゃんもお父さんも勘付いてたらしい。

でも、食事をもらえていないことを暴露すると、ふたりとも目を見開き、

拳を強く握ったり、一度顔を下げて、悔しそうに目を瞑ったりしていた。

国語のエキスパートなのに、時々、言葉に詰まったり、話の順序が綺麗に通ってなかったりもした。

それでも、最後まで、涙は堪えた。

私は、悲劇のヒロインになりたいわけじゃない。

同情して、慰めてほしいわけじゃないんだ。

ただ、相川さんに慰められて、もらった夢を追いかける勇気を、

証明したいんだ。

だから、ここで泣くわけにはいかない。

お母さんから見れば、親に逆らえない、お母さんにとっては都合の良い弱い子、だった。

だから今、相川さんからもらった勇気を、その勇気で育てた強さを、見せつけてやるんだ。

そして、自分の力で、認めさせたい。

誰かから聞いた評判、じゃなくて。

愛してくれなくたっていい。

ただ、理解して、認めてほしい。


______________これが私なんだ、と。

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MadCat(プロフ) - ききょうさん» ありがとうございます!実はつい最近、再開したばかりでwこれからもがんばります!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 635a11a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
ききょう(プロフ) - MadCatさん、初めまして。突然ごめんなさい、ききょうと申します!語彙が繊細でとっても素敵なお話ですね…!とても楽しませて頂いております!笑 長々とすみませんでした…これからも更新頑張ってください!応援してます!!長文失礼しました。 (2020年9月10日 17時) (レス) id: 41db9f3d9e (このIDを非表示/違反報告)
25253 - 更新頑張ってくださいね! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 130d6e5757 (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!更新ペース、定まりませんが、頑張ります!!! (2019年10月6日 18時) (レス) id: 36fa550942 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - このお話とっても好きです!頑張ってください!!!応援してます! (2019年10月6日 17時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2019年9月17日 14時

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