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twenty - eight ページ30

まふまふside

彩ちゃんの身にあったことは、想像以上に酷いものだった。

家出するのも当然、いや、よく今まで堪えられたと思ってしまうほどに。

『・・・相川さんって、本物のヒーローですね。』

彩ちゃんの唐突なる一言。

僕はそんな、ヒーローじゃないのに。

そう否定したかったけれど、

彩ちゃんの、「眩しいくて見れないけれど、やっと見つけたもの」、

それを見るような瞳を見ていると、何も言えなかった。

「ねぇ、彩ちゃん。」

彩ちゃんの、儚げで美しい、それでいて感情的な力強い歌声。

何故そんな歌ができるのか、解った気がした。

『なんですか?』

彩ちゃんの話、その歌声の儚げさから、わかったことがある。

この子は、他者からの自分への愛に、気づけていない。

自分は愛されていないと思ってる。

そして、自分を愛せていないんだ。

『相川さん?』

だから、自分がどれだけ愛されているのか。

知って欲しい。

気づいて欲しい。

わかって欲しい。



「彩ちゃん、、、、、歌い手になってみない?」



_______自分を愛せるようになって欲しい。



『歌、い手、に・・・・私が・・・・・?』



当たり前だけど、彩ちゃんは戸惑っている。

まあ、簡単になれるけど、そう簡単じゃない、からね。歌い手は。

特に、彩ちゃんみたいな子にとっては、とても大きな決断になる。

『そんな、、、、私が、、、無理、ですよ、、』

彩ちゃんは俯いて答える。

『だって、もう、帰る場所もないし、お金もないし、
第一、今の自分の問題も解決できてないのに・・・・・・。』

彩ちゃんはきっと、家の、お母さんのことを考えてる。

「彩ちゃん、できるできない、じゃなくてさ、やりたいか、やりたくないか、だよ。」

パッと顔を上げる彩ちゃん。

その瞳には迷いが見える。

『やりたい、か、やりたくないか・・・?』

心が揺れているのが手にとるように分かる。

でもさ、彩ちゃん。

そんなに揺れてるなら、もう、自分の気持ち、理解ってるんじゃないかな。

「やりたいなら、やってみようよ。」

少しの沈黙。

やがて、彩ちゃんは、その大きな瞳に涙をためて言った。

『無理、です・・・・。』

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MadCat(プロフ) - ききょうさん» ありがとうございます!実はつい最近、再開したばかりでwこれからもがんばります!! (2020年9月10日 20時) (レス) id: 635a11a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
ききょう(プロフ) - MadCatさん、初めまして。突然ごめんなさい、ききょうと申します!語彙が繊細でとっても素敵なお話ですね…!とても楽しませて頂いております!笑 長々とすみませんでした…これからも更新頑張ってください!応援してます!!長文失礼しました。 (2020年9月10日 17時) (レス) id: 41db9f3d9e (このIDを非表示/違反報告)
25253 - 更新頑張ってくださいね! (2020年3月16日 14時) (レス) id: 130d6e5757 (このIDを非表示/違反報告)
MadCat(プロフ) - ゆずさん» ありがとうございます!!!更新ペース、定まりませんが、頑張ります!!! (2019年10月6日 18時) (レス) id: 36fa550942 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - このお話とっても好きです!頑張ってください!!!応援してます! (2019年10月6日 17時) (レス) id: 69c985532c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MadCat | 作成日時:2019年9月17日 14時

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