銀狼【銀魂】21

第九百四十訓 大ピンチでも常に冷静な思考を保て ページ9

A「…今回の実験は…『検体同士の脳の交換』！？」


何なんだよコレ…！

不意に頭が痛くなった。


開国の影響で医療や科学が爆発的に進み、この国は発展していたことは知ってた。

でもまさかその裏で、攘夷志士を使った人体実験が行われてたなんて。

こんなこと…許されることじゃない。
心の中で怒りが生まれて強く拳を握りしめる。


実験の手順は飛ばして、結果を見た。

結果は…半分成功、半分失敗。

杉浦大輔に霧島刹乃の脳を移植することは成功したものの、残りの方は失敗した、と淡々と書かれていた。

これにより、杉浦大輔は死亡。
霧島刹乃は、杉浦大輔という別の人間の体で生きる他なく、“銀狼”の力は永久的に失われたと言っても過言じゃない。


A「…じゃあ…杉浦(アイツ)は……」


あたしの…母さんの…ーー


尋ねても、答えられる相手はいない。

しかし、目の前にある報告書が、志乃に真実を突きつけていた。


杉浦大輔は、霧島刹乃の人格を保管している箱。


こんなことが…あたしは衝撃の事実に絶句する他なかった。


＊＊＊＊＊＊＊＊


しばらく頭を冷やしてから、パソコンの履歴を消去して電源を落とす。

衝撃が完全に抜け切ったわけではない。けど、少し落ち着いた。

まさか、あたし以外の“銀狼”が生きてたなんて。

ずっと他のみんなは死んでいたとばかり思っていたからーー。


A「…生きてて良かった…」


ポツリと呟いて、椅子から立ち上がる。

だが、やるべきことは変わらない。

杉浦はあたしを殺そうとしてんだ、きっと。どういう理由で恨むようになったか詳しい経緯は知らないけど、近い内に必ず決着をつける。

さらに調べたところ、杉浦大輔は本来龍脈を祀る神社の巫女の一族の分家らしい。そんな奴がまたどうして刹乃と…

考えながら扉を開けた瞬間、


ジャカジャカジャカッ


眼前に、無数の銃が向けられた。


A「えーと…」


その数おそらく数十丁。

突然のことに、思わずキョトンとした。

あれ？えっとこれは…何だ？


A「何これ？」

「死にたくなきゃ大人しくしなァ銀狼」

A「おお、そうか」


何やらあたし、命を狙われてるらしい。
いや、元からだけどね？でもいきなり何なのコイツら。


天人に囲まれ、取り敢えず両手を挙げて無抵抗を示す。

えー…マジ何なのコイツら。今アンタら自分で自分を追い込んでるの知ってる？

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