銀狼【銀魂】21

第九百五十八訓 他人への説教って大抵ブーメランで自分に帰ってくる【銀狼篇12】 ページ27

神楽「Aちゃんは、自分の暮らすこの世界が大好きだって言ってたネ。だから、そんな事絶対にしないアル！！」


Aは自分の血の力を恐れていた。この力がいつか、大切なものを壊しかねない、と。

同じ境遇にある彼女は、その気持ちを誰よりも知っていた。


しかし、杉浦はどこ吹く風だ。


杉浦「おやおや？随分と“銀狼”の血を甘く見ているらしいね、夜兎のお嬢さん。でも君だって同じだろう？口ではいくら綺麗事を並べても、結局自分の本能にはあっさりと負けてしまう。所詮獣はその程度だってことだよ」

神楽「ッ…！！」


神楽が悔しさにギリ、と歯を噛みしめる。

かつて吉原で阿伏兎と戦った時、神楽は自分の血の力に負けてしまった。

図星を突かれ、何も言い返せないでいると、口を挟んできたのは銀時だった。


銀時「…さっきからゴチャゴチャうるせーな、てめーは。どうにも妙だったんだよなァ。何でお前はそこまで銀狼を知ってる？銀狼の血筋なんて、この世にゃもうアイツしかいねェだろうが。なのに気持ち悪ィくらい詳しすぎるんだよ。熱烈なファンか？」

杉浦「…こんな血塗られた一族にファンなんかいるはずないじゃないですか」

銀時「そうでもねーさ。Aを見てみろ。幕府だけじゃねェ、鬼兵隊や春雨、さらには中央暗部に至るまで大人気だ。ま、中には振り向いてくれなきゃ殺すなんていう、とんでもねぇメンヘラファンもいるがな」

杉浦「だから、俺をそんなアホ共と一緒にしないでくださいって言ってるでしょ。話聞いてます？」

銀時「ワリーな」


杉浦の表情から、笑みが消える。

代わりに銀時が口角を上げた。


銀時「俺ァ野郎の長話にゃ興味ねーんだ。早いとこお前の居場所を吐いてくれるとありがてェ。嫌だってんなら、その体ごとめちゃくちゃにしてやるけどな」

杉浦「……チッ」


憎々しげに舌打ちをした杉浦は、一息吐いて銀時を睨みつける。彼は、自分自身を探られることを最も嫌う。


杉浦「…仕方ありませんね。俺もそう簡単にそいつに死なれちゃ困るんですよ。あの女には、俺の元へ来て大立ち回りを演じてもらわなきゃならねーんでね」

銀時「その代役は俺が務めてやるよ。それで充分だろ？」

杉浦「いいえ、全く物足りません。何てったって、化け物同士の戦いなんですから」


杉浦に、いつもの笑みが帰ってくる。

第九百五十九訓 暗号解読はコ◯ンに頼め【銀狼篇13】→←第九百五十七訓 態度はTPOを弁えて使い分けるべし【銀狼篇11】

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