銀狼【銀魂】21

第九百五十一訓 事件は突然起きて突然解決する【銀狼篇5】 ページ20

見廻りの時間。

普段あたしは見廻りの際、トシ兄ィと一緒にいるのだが、今日は何故か別の普通の隊士と一緒に歩いていた。

理由はあたしにもよくわからない。なんでもこの人がトシ兄ィにお願いして、それが承諾されたとかなんとか。

この人は所謂モブで、何の変哲もないお兄さんだ。ロリコンとかそんな気はあまりない。
つーか結婚して子供もいるしね。もしロリコンが父親だったらあたし死んでも嫌だな。

ていうか、あの頑固者のトシ兄ィをよく説得したね。明日槍でも降ってくるんじゃない？


「Aちゃん、人通り多いし、はぐれないように手ェ繫ごっか」

A「は？一歩間違えたらセクハラだよ？」

「いやそんなやましい事考えてないから！何？反抗期！？」


「いずれ俺の娘もこうなるのか…？」と頭を抱えてブツブツ呟き始める。

ああ、そういや今子供は3歳だったっけ。可愛い年頃だよね。

3歳の時、あたし何やってたかな。確か戦に負けて、銀に連れられて戦場から逃げた頃だったかなぁ？
…そう考えると結構デンジャラスな人生歩んでたのね、あたしって。


その時、笠を被った男とふとすれ違う。

いや、ただの通行人じゃねェな、コイツ。


ヒュンッ


刹那、男は抜刀し、あたしの首を狙って振り抜いた。

しかし。


ガシッ！！


A「オニーサン、これは一体何のマネ？」


白刃が赤い血を浴びようとした瞬間、刀を右手で掴んだ。


フン、殺気に気付かれた時点でお前はもう終わってんだよ。泳がせといたら本当に刃向けやがって。

ハイということでオニーサンは実行犯確定でーす。ハイバカー。マヌケー。アホー。


逃げようとするバカに、あたしはグンと刀を引っ張って、顎を蹴り上げた。


A「オラァ！！」

「ぐほっ！！」


一撃で男を沈め、刀から手を離す。

うわ、血塗れじゃん。


「Aちゃん！！大丈夫！？」

A「平気。あ、手錠手錠…」

「Aちゃんはパトカー呼んで！！俺がやっとくから」

A「ほーい」


意外と頼れるねモブ兄さん。

そこ、失礼とか言わない。いいんだよ、口に出してなければ。
あたしそこは徹底してるから。思った事をいつのまにか口に出してるような夢小説あるある主人公じゃないから。


さーてと、トシ兄ィに連絡入れなきゃな…


ーーズキッ


A「いっつ…」


血塗れになった手に、激しい痛みが走った。

第九百五十二訓 玄関先で何回もインターホンを鳴らされるとウザい【銀狼篇6】→←第九百五十訓 愛し愛される日常の幸せ【銀狼篇4】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す