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「鳥井君、ありがとね」
此処まででいいよ。まるでそう言うように、駅から少し離れた場所で彼女が立ち止まった。体を彼の方へ向け、見上げるその顔には満足げな、とても有意義な時間を過ごせたと言わんばかりの笑みが浮かんでいた。
それを見たゾムも嬉しそうに、久し振りに好きなものを沢山語れたことに気持ちの良い疲労感を味わえて、自然と笑みを零した。
「おん。じゃあまた明日な。帰り、気ぃ付けや」
「ふふ、ありがと。鳥井君もね」
そう言って彼女がスカートを
そしてそれが見えなくなるとようやく動き始め、さて、と踵を返した。自分もこのまま寄り道せずに家に帰ろう。この機嫌とテンションを持って帰って、これらをゲームに注ぎ込みたい気分だった。今なら良い結果を出せそうな気がする。
微かに上がっている口角をそのままに、すれ違う人の波を掻き分けていくと、ふと視界の端に見覚えのある看板が映った。そちらへ振り向いてみるとあのゲームセンターの入り口が見えた。相変わらず明るい光が中を満たし、通りかかる人々の目を惹きつけている。
その時ゾムは、あっ——と頭の中にある思考を過ぎらせた。
「なあ、今日ゲーセン行かへん？」
朝の挨拶を済ました後間髪もなくゾムがそう言い放った。昨日と同じ、空いていた隣の椅子に座るその姿を見て固まったAは一度瞬きをした。
「……え、きょ、今日？」
耳を疑った言葉に改めて聞き返すと彼がにかっとして「せやで」と答えた。Aはそれに驚きを隠せなかった。
初めて会話したのが昨日だと言うのに、もう遊びに行こうと提案してくるとは流石に思っていなかった。急な展開すぎて軽く混乱に陥った頭が回らない。
その様子が彼には答えを渋ったように見えたのか、理由が分からないと捉えたのか、次いでその誘いの経緯を話し始める。
あの場所で彼女が色んなゲームを嗜むのを見ていく内にその腕前が気になったのだ、と。そして是非とも対戦してみたいと彼が少し興奮気味に説明した。
それにAは納得した声を漏らすが、すぐに眉を顰めた。誘ってくれたのは正直嬉しいが、どうにも今日は都合が悪かったのだ。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
