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○マジか、ここまで削ったのに。本当に悔しそうな、疲弊した声でゾムはそう言って背凭れに体を預けた。
「ああ、マジでムズい……っ。なんやあの第二形態⁉︎ 攻撃範囲でかすぎんねん！ はあ、これホンマ倒せんのかあ……？ なあA、お前これ倒したか？」
溜まりに溜まったストレスや怒りを吐きつつも、頭の中ではあの敵の攻撃をどう対処してどう攻撃を入れようかと考える。流石にこいつにこれ以上時間をかけるのも嫌になってきたので、何か突破口はないかと彼女に助けを求めた。
しかし幾ら時間が経っても隣から返事が来ることはなかった。あれ、と思ったゾムは顔を横に向けた。すると目の前には彼女の後頭部だけが見えた。
彼女はその状態から動かず、何やら向こうに夢中になっている様子だった。一体何を見ているのか。ゾムもその姿越しに彼女の視線を辿ってみると、そこにはキッチンに立つあの男の姿が見えた。
どうやらAはあの彼を見ているようだ。もう一度彼女の名前を呼んでみる。しかしそれでも反応は無い。流石に集中しすぎでは。一心不乱に見つめる彼女にゾムは眉を顰めて更に首を傾げた。
痺れを切らした彼は思い切って彼女の肩を指で叩いた。するとようやく我に返った彼女が大袈裟に体を震わせて、ばっと振り返ってきた。
「どうしたん？」
「え、あ、いや、えっと……な、何でもないよ！ ごめんね！」
そう言って申し訳なさそうに笑った。
動揺しているのを繕うようなその様子にますます疑念を増やすゾムだったが、とりあえず本人が何もないと言うなら特に言及しないでおくことにした。その後の彼女の態度もいつも通りなことだし、気にすることではないだろうとそう思った。
しかしそこで一つ、ゾムはふとあることに気が付いた。そう言えば、こちらに振り返ってきた時の彼女の顔が妙に赤かったような気がした、と。
✳︎✳︎✳︎
「ああっ！ らだ兄ずるい！」
「がは。ずるくないずるくない。これも戦略のひと……って、ああああッ‼︎」
「んははははっ！ ざまあ！」
しばらくエンデルをやった後、Aが別のゲームをやらないかと提案した。それにゾムは以前彼女が一緒にやろうと言ってきたものだろうかと尋ねたが、それもいいけど、と言って彼女は首を横に振った。
——折角だかららだ兄も一緒に遊ばない？
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
