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○最初戸惑っていた彼だったが、そう言われて満更でもない気分になる。彼女に自慢されたことと、まだ見ぬ同類にまるで実力を認められたかのようで内心嬉しく思ったのだ。
会ってくれないだろうか。相変わらず申し訳なさそうな表情で見上げてくる彼女にゾムは高揚する気持ちを隠して、あくまでも仕方がないと言った態度で頷いた。すると瞬時にパッと表情を明るくした彼女はほっと一息をついた。
その人物はどうやらあのリビングで待っているらしい。前を歩く彼女の後ろをゾムは大人しくついていく。
徐々にそこへ近付く度に、ドアの向こうから漏れている音が大きくなっていく。複数の人が喋っているようなそれはおそらくテレビから流れているものだろう。昼時だから何かのバラエティ番組か情報番組か。
そんなことを考えている間に、扉の前に着いたAがドアノブに手を掛ける。ゆっくりとドアが開かれて、出来た隙間から彼女の頭越しにリビングの中を見遣る。するとソファーの背凭れから突き出ている黒が視界に映った。
「らだ
テレビの音と重なって彼女の声がその場に響いた。黒髪の後頭部がそれに反応して振り返ってくる。
現れた青い瞳に二人の姿を映す。次の瞬間、気怠げな印象を持つ目が僅かながら大きくなった。
「おっ、そいつがゾムって言う奴？」
「そう、鳥井希君」
「どうもー。猿山らだ男でーす」
そう名乗った青年はにこやかに笑って、座ったままAの後ろにいるゾムに手を振った。そんな彼の様子と二人の口から出た言葉に思わず固まってしまった。
一見自分とあまり歳が変わらないような見た目ではあるが、彼女が言った「らだ兄」と言う呼称からすればおそらく年上なのだろう。そして名前。随分変な——個性的な名前をお持ちだったことに衝撃を受けた。一体どういう字を当てているのか、少なからず好奇心が湧いた。
こいつがAの知り合いか。特に予想とかはしていなかったが、まさか男だったとは思いもしなかった。いや、彼女と知り合った時のあの男慣れしてなさそうな態度から、勝手に男ではないとどこかで思っていたのかもしれない。
「飲み物は前と一緒にする？ それとも違うのにする？」
「えっ、あ、せ、せやな。ええと……同じのでええで」
「じゃあ今準備するから、先にソファーで待ってて」
え、と彼が驚いている間にAがキッチンの方へと歩いていく。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
