検索窓
今日:35 hit、昨日:5 hit、合計:17,243 hit

05:接触 ページ5

ああ、今日も居た——。
 

 あれからゾムは何度か友人達を誘い、または誘われて放課後帰りにあのゲームセンターに寄った。そして彼らと喋っていたり笑い合っている間にふと視線を外すことが増えた。その先にまたあの姿があるのではないかと、僅かな期待を胸に秘めながら。
 一度意識してしまった手前、どうしても気になって仕方がなかったのだ。彼らと楽しい時間を過ごす傍ら、いつの間にかそれがサブミッションみたいなものになっていた。暇さえあればフロア内を見回す癖が付いた。
 
 そしてその成果として、何度も彼女の姿を目撃した。と言うか、ほぼ毎回だ。ある日は格ゲーコーナーに、またある日はシューティングゲームに、また別の日は音ゲーコーナーに。
 ゾム達もその日の気分でやるゲームを変えているのだが、まるで示し合わせたかのように行く先々で彼女を目にする。先程までは居なかったのにいつの間にか其処に居たり、先に来ていたこともあった。
 
 正直驚いた。行く度に目撃するのもそうだが、そう思った一番の原因は彼女が色んなゲームをやっていることだった。今日(こんにち)の女子高生があんな様々なジャンルをこなせるだろうか。
 彼女はいつも真剣な顔で画面を見つめているが、たまに勝負に一喜一憂する表情も見せる。それはまさに心からゲームが好きで、プレイすることを楽しんでいるようだった。その様子は遠目からでもよく分かった。
 
 だからだろうか。一度も話したことがないのに、どんな人物なのかも知らないのに、彼女に対してゾムは少なからず親近感を抱いていた。きっと悪い奴じゃないと勝手にそう思ってもいた。
 あの場所で彼女を見掛ける度に、彼の中で興味と好奇心が膨らんでいった。彼女を知りたいと思った。自分のゲーマーとしての心に火が点いたと言うのも少しだけある。

06→←04



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (47 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , zm   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。